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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.65 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

パブリックとプライベート (2)監獄モデル

(株)アーキネット代表 織山 和久

網走刑務所

 網走刑務所の獄舎は、中央見張りを中心に5本の指を放射状に広げた形状で、五翼放射状舎房と呼ばれている。共謀して脱走・暴動を起こさないように部屋同士は分断されて、少人数でも監視しやすい構成である。この構成の手本は、ベルギーのルーヴァン監獄だそうだ。
 パリを起源とする近代都市も、実はこの監獄の構成を手本にしている。ナポレオン帝政下、オースマンはパリ大改造を実現した。この目的は、スラムの撤去、治安の維持、暴動の統制、交通体系の整備。二月革命で、集団化した市民が路地にバリケードを築いて暴動を起こしたことが念頭にあった。仲間を募って反乱を企てる路地を壊し、監獄のように、市民を街区型建物に押し込めて幹線道路を放射状に配置すれば統治は容易だ。外出は監視しやすく、鎮圧のための軍隊はすぐに動員できる。統治者側には、監獄モデルは合理的な空間構成である。
東京も、監獄モデルを踏まえた計画都市であり、関東大震災からの復興や衛生の名のもとに放射環状道路を整備して路地や裏長屋を失くしていった。下町の人々は、大切なコミュニケーション空間が失われることに抵抗したが、政府側は小公園をつくることで懐柔した。震災前に激化していた第一次共産党などの社会主義運動も、震災復興前後に一気に弾圧された。交差点には交番が配置され、怪しい動きを監視しやすくなった。

小学校の平面図

 都市計画だけでなく個々の建築物も、実は監獄モデルに従っている。近代に続々と登場した兵舎、病院、学校、寄宿舎、工場、事務所などだが、いずれも管理・統制しやすいように、見通しの効く通路とお互いに分断した部屋の組み合わせを標準形としていた。地域性や立地環境に関わらず、画一的な設計で工事も型どおりなので、都市化で人口が急増する時代に大量供給しやすかった。転校しても、あるいは子どもの授業参観に臨んでも、どこも学校空間があまり変わらないことに気づくのはこの標準形のためである。

分譲マンションの平面図

住戸プラン

 そして大半のマンションも、だれかに管理統制される必要もないのに同じ監獄モデルに従っている。共有の外廊下が東西を貫き、各住戸が廊下に接続して一列に並ぶ形式である。片廊下にはコミュニケーションの場はなく、相互に分断されている。大規模な近代建築のモデルとして設計者・事業者が無意識に参照しているのか、画一的なので大量供給しやすかったからなのか、居心地を尊重する立場からはなかなか理解に苦しむ状況である。さらに監獄モデルは、田の字プランとして住戸内にも浸透している。田の字プランは、共用の外廊下に面して住戸の中央に玄関を設け、玄関から延長される廊下によって個室や水回り・台所等が左右に振りわけられるお馴染みのプランである。限られた面積に部屋数を多くとれる効率性から、事業者から好まれている。マンションの個室の起源をたどると独房だった訳である。「プライバシーを尊重する」「子どもの自立心は個室で育つ」といった主張も、田の字プランの普及を促した。でも、そもそもプライバシーという言葉は、元来は公共的な領域に入ることを許されない、女性や子供といった弱者が衆目に晒されずに虐待を防げない、といった否定的な意味である。近年では、子供に早くから個室を与えると、かえって自立心が育たないとも言われている。戸建てにしても、プライバシーや防犯を理由に、周囲から分断されていることが多い。
 このようにして近代の監獄モデルは、都市計画から建物、部屋に至るまで埋め尽くしている。自宅で暮らしていても、学校で学習しても、工場や会社で働いても、病気で入院しても、街中に出ても、どこも監獄モデルの空間に占められている。路地のようなコミュニケーション空間も、車の通行によって隅に追いやられている。けれどもコミュニケーションがなければ、人として存在できない。コミュニケーション空間を失くし、いつも監視されているような監獄モデルでは居心地が悪いのは当然である。住まいを選ぶのに、わざわざ監獄を選ぶことはない。住まいの中でも濃淡を変えたコミュニケーションが図れる、路地空間があって隣近所とさりげないコミュニケーションができる、建物も街とも緩やかにつながって外観も街並みを引き立ている。そんな住まいを選ぶ人々がもっと増えていけば、街や都市も監獄から抜け出すことができると思う。

筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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