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築年別中古マンションの評価ポイント:第5回 




第5回:遮音性能を重視するなら築10年以内の物件

住宅問題評論家 山下 和之


▼マンションでは音の問題がトラブルのタネに

 マンションでは、上下階や隣戸との生活音の問題が何かとトラブルになります。国土交通省の『マンション総合調査』でも、マンション内の居住者間のマナーを巡るトラブルにおいては、「生活音」(52.1%)の問題が、「違法駐車・違法駐輪」(55.5%)に次いで2位に上がっています。逆にいえば、マンションの上下階や隣戸との遮音性能の高いマンションであれば、居住者間のトラブルの大きな要因のひとつがなくなり、それだけ快適な生活を送ることができるのではないでしょうか。
 その音の問題に大きな影響を与えるのが、コンクリートの壁の厚さで、上下階を分けるコンクリートの壁の厚さを"スラブ厚"といいます。もちろん、二重床にするなどの仕上げ方によっても違ってきますが、基本的にはスラブ厚が厚いほど遮音性能が高くなります。

▼スラブ厚200mm以上が標準で、225mm以上の物件も

 スラブ厚は遮音性能だけではなく、耐久性能にもかかわってきます。かつては130mmが標準といわれた時代もあり、それが150mm、200mmと徐々に厚くなってきました。最近では200mm以上が標準といわれ、なかには225mm以上の物件も登場しています。
 では、実際にどの程度生活に影響してくるのか、少しデータは古くなりますが、旧住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)が、当時の公庫付き(優良分譲住宅)と呼ばれるマンションを対象に実施した「平成16年度公庫融資を利用したマンションに関する満足度」という調査が参考になります。
 全体では図表1にあるように、2001年度に竣工した物件では、住宅全般については、「たいへん満足している」「やや満足している」の合計が9割近くに達して、満足度はかなり高くなっています。しかし、上下階との遮音性能に関しては、「たいへん満足」「やや満足」の合計は6割強に落ちます。音の問題については、満足できていない人が少なくないのです。

図表1 竣工年度別の住宅全般の満足度
竣工年度別の住宅全般の満足度

 しかし、図表2をみればわかりますが、満足度はスラブ厚によってかなり違ってきます。スラブ厚175mm以上200mm未満では「たいへん満足」「やや満足」の合計は50.0%なのが、200mm以上225mm以上になると60.5%にアップし、225mm以上250mm未満だと72.4%まで上がるのです。
 できれば225mm以上あるのが望ましいのですが、200mm以上でもかなり満足度が高まることがわかります。

図表2 床の厚さ別の遮音性能満足度
床の厚さ別の遮音性能満足度

▼98年度竣工以降の物件なら200mm以上が7割近くに

 このスラブ厚を竣工年度別にみると、図表3にある通り。1989年度では200mm以上の物件は4.4%に過ぎなかったのが、98年度竣工のマンションでは67.1%に達し、2001年度竣工では87.5%に達しています。前回も、バブル崩壊後にマンションは専有面積が拡大し、徒歩時間が縮小し、大規模物件が増えてきたと紹介しましたが、スラブ厚の面でもバブル崩壊後に大きく進化したことがわかります。
 マンション内では上下階だけではなく、隣戸との音の問題もあります。この隣戸との間のコンクリートを「界壁コンクリート」といいますが、その厚さもやはりスラブ厚と同様に90年代後半から急速に厚くなっています。
 音の問題を気にせずに快適に暮らすためには、1990年代後半以降に竣工した物件で、当時公庫融資付きとして分譲された物件に目を向けるのが安心。2000年代に入ってからの物件だとさらにいいのかもしれませんが、そうした築浅の物件はまだまだ市場に出る物件が少なく、価格も高いのが現実。特に都心部やその周辺の物件だと、分譲時価格より高く取引きされているケースもあります

 価格との兼ね合いからみれば、90年代後半の旧公庫付き物件にターゲットを絞り込むのが現実的ではないでしょうか。

図表3 竣工年次別の床スラブの厚さ
竣工年次別の床スラブの厚さ
(資料:いずれも旧住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)『平成16年度公庫融資を利用したマンションに関する満足度』より)



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