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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.96 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

都市景観を語る言葉 (27)人間のための都市

アーキネット代表・横浜国立大学IAS客員教授 織山 和久

前回は、ネコにいい街としてネコシティ を検討したが、そのつながりで人間のための都市モデルを考えてみた。新しい都知事が決まって東京五輪後の都市戦略も議論となるだろう。でもいまの調子だと、性懲りもなくグローバルビジネス都市とかが提唱されて、あちこち木造密集地域のすぐそばに巨大タワーがのさばり、三環状道路などに莫大な公共投資を行った挙句、マンハッタンのできそこないのような非人間的な都市ができしまうだろう。もし大地震に襲われたら、損壊したタワーはずっと使用不能、木造密集地域は大規模延焼、とそのまま廃墟になりかねない。
 人間のための都市にしていきたい、と考えるときに基本となるのが、「歩くと楽しい」「関わり合い」「凸凹」といった街区構成や建物の現れ方である。この基本方針で地道に東京をつくりかえていけば、地震災害にも頑健になる。簡単に説明してみよう。

支配のための都市
(Grid Alignment Simplex Model)

人間のための都市
(Contour Interactive Complex Model)

1.歩くと楽しい(等高線 Contour)

人が歩きやすい道筋を考えると、自然の地形を踏まえて等高線に沿った街路構成が基本になる。等高線に沿っているので、道は自ずから湾曲して、人々は自分の姿を見え隠れさせることができる。そうした街路のうちには幅員のある場所もあって、青空市場も開催できる。道は浸透性を持たせるために、緑道や石畳が主体になる。
 街の外周となる等高線の道までは自動車も通行するが、そこから内側は基本的に歩行者と自転車のみの街路網となる。等高線と次の等高線の間は、上り下りに無理がないような傾斜を抑えた、数多くの路地がつなぐ。交差点のそばにはちょっとしたたまり場があって、立ち話もできる。
 街中からの眺めを大事にして、道筋の圧迫感を避けるために、街の内部は三層ほどの低層で揃い、中層の建物は街の外周部に位置する。そんな都市構造が人間には向いている。東京の地形は結構アップダウンがあるので、こうした等高線に沿った街の姿を取り戻すには向いている。
 この等高線の街路構成は、従来の格子状(grid)の街路構成で沿道に中高層建物、というのとは対照的である。格子状の都市構造は、見通しがいいので市民の活動を監視できる、幹線道路で街区ごとに分割統治しやすい、戦車や兵站など戦力の移動もしやすい、ということで支配者には好都合なので広まったと言われる。格子状は、現在、平時では自動車には便利である一方、人々にとっては、誰かに見られているようで落ち着かないし、車によって端に追いやられて歩きづらい。何車線もの道路が通っているので、あの街この街と跨いでいくのも大変だ。

2.関わり合い(相互作用 Interactive)

人間にとって居心地のいい都市環境は、自然との関わり、建物との関わり、人と人との関わりが大事にされている。いくらオフィス街でも、公園や川辺など憩いの場所がなく、巨大なビル群の前を通りすぎるだけ、誰にも関わらずにただ職場と自宅とを往復する、というのでは、やっていられない。
 まず人と植物の関わり。人々は緑を眺め、寛ぐ。人の領域と森の領域がそれぞれに保全される。明治神宮の森のよう百年の大計で自然の植生に近づける緑地が、街を囲うといい。緑地の一部は内部にも貫入する。こうした露地と樹木があることで、潤いのある空気が供給され、また街の気温も3℃ほど低くなってヒートアイランド現象を抑えることができる。
そして建物と人、建物と建物との関わり。湾曲した道、あるいは隣の建物との間は、人々が気分を入れ替えたり、ちょっとした合間の時間を寛げるように、心地の良い中間領域が備わる。建物の向きも中間領域を考えて、それぞれに軸がずらされている。ちょっとした段差、腰壁、交差する視線や風の抜けなどが、緻密に計算される街の構造である。
 何より人と人との関わりが、無理なく豊かに広がるような街がいい。路地の鉢植えを手入れしながらの朝夕の挨拶、犬を連れた散歩の途中で立ち話、店先でのちょっとしたやりとり、街角ライブなど体験の共有など。さらに小さな公共として、街の食堂、ライブラリー、託児所、共同浴場、工房、スタジオなどが界隈に組み込まれていけば、お互いに持ち味や持ち時間を生かし合うことで街暮らしが充実する。
 このような関わりを大事にした街と対照的なのが、単能型の街である。人と自然、人と建物、人と人との関わりを捨象して、業務系、商業系、住居系などと単一の機能別に都市を分断する。そして建物を出たらすぐ車道、建物が格子状の道筋に沿って整列(alignment)している、というつくり方で、暮らしていて面白くない。

3.凸凹(複体 Complex)

何が街の行く末を分けたのだろうか?

建物も、歩き回って楽しい、いろいろな関わり合いが広がる、という街に馴染む形になる。たくさん収容できればいいでしょ、といった単一の直方体(Simplex 単体)ではない。
 凹型、凸型といったように、いくつかの直方体が組み合わさった形で、関わり合いを豊かにするように正面や脇、袖、踊り場といった性質の生き生きとした場所が備わる。こうした凹凸のある建物は、目の不自由な人にとっても反響音を手がかりに正面に到達しやすいそうで、人間の感覚に合う。
 建物の用途も複合的である。オフィス、店舗、住宅、とゾーニングで分断された街区に、そのまま当てはめられたような単機能の建物ではない。複体の中でさまざまな特性を帯びた空間があって、ちょっとした公共サービス、SOHO、工房、屋上菜園、店舗付き住宅といった用途もそれぞれで、小さなコミュニティとして自立した単位ができる。職住近接なので、余暇時間も多くとれる。

東京のポテンシャル

実は、東京の多くの街はちょっと工夫すれば、「歩いて楽しい」「関わり合い」「凸凹」といった人間のための都市にしていくことができる。
 もともと東京は高低差がある。縄文前期(5~6千年前)には今の関東平野のかなり奥深く、例えば川越辺りまで入江が侵入して陸地が削られていた。海が引いた後には入江は、例えば北沢川のような湾曲した河川になって、なだらかな坂や崖をつくった。したがって旧道や水利はこうした等高線に沿った湾曲した形になって、いまでも残されている。旧道のポイントには鎮守の杜が開かれ、沿道に立っていた市はいまの商店街に繋がる。商店街の脇や裏には路地が続く。こうした街区を囲むように幹線道路と中高層建物が並んでいる。

文京区の上空から:幹線道路と沿道の中高層建物に囲われた街区は、緑が点在し湾曲した道が通る木造密集地域が残されている

こうした旧市街の構造は、人間のための都市にしやすい。「歩いて楽しい」とするには、街区の内部への車の通行を制限し、旧道沿いの建物は、高さを三層10mほどに抑えて道に向いて開くものとする。そして例えば神楽坂の横丁のように石畳を敷く、といった工夫でできそうだ。「関わり合い」については、鎮守の杜や寺院などを起点に、ときには暗渠を復元し。空家の跡地を生かしながら緑のネットワークをつくる。老朽木造家屋群を共同建替えするときに、路地空間を延長していく。職住一体になるようにゾーニング規制も改める。「凸凹」については分棟形式を前提に、各棟については縦横高さの三辺合計25m以下、棟同士は75儖幣緡イ靴得楝殻未亙斌未1/3以下、といった地区条例を定めればできていく(ちなみにこの条例があっても、土地の有効活用の面で不利にならない)。何より老朽木造家屋が密集して地震火災リスクがある、単独で建替えも難しい状況とされるが、裏を返せば、共同建替えによって更新できる余地がとても大きい、とも言える。東京は、例えばパリなどと比べても、人間のための都市をつくりやすい条件なのだ。

 東京五輪後の都市像として、政府や大手ディベロッパー側から「環状メガロポリス構造」「マンハッタンみたいに」「垂直の庭園都市」とか、いろいろな主張が出されるだろう。でもいつまでも、そんな支配のための都市ではなく、人間のための都市を求めて「歩いて楽しい」「関わり合い」「凸凹」という言葉を投げかけていれば、と思う。

筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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