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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.95 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

都市景観を語る言葉 (26)ネコシティ

アーキネット代表・横浜国立大学IAS客員教授 織山 和久

ネコにいい都市空間は、人にもいい都市空間である。これをネコシティと呼ぼう。

ネコにいい街

まずネコにいい都市空間を考えてみよう。ネコの本性に適うのは、自由に外に出られる状態である。社会化期(生後2~7週)に、人とのふれあい、開放的な環境での他のネコとの接触等が、問題行動(不適切な排泄、マーキング、攻撃行動など)を予防する。このネコの自由な外出のために求められる環境条件としては
(1)車の危険がない。ネコは獲物に集中するために、一直線に道路を横断する習性がある。そのために交通事故に遭うことも多い。大分市では殺処分数725匹に対して交通事故死数2,631匹、全国のネコの殺処分数は79,745匹なので大分県の割合であれば毎年約29万匹のネコの命が自動車によって奪われていることになる。飼いネコ(雄)の行動圏は80~380ha、少なくとも半径500m、その範囲の街区内に、速度を上げたまま車両が通行しないことが望ましい。

自動車の入らない路地に、ネコと人が触れ合う / 猫写真家 田中良直@田代島

(2)ほどよい高さで屋根が連続している。捕獲本能に由来するが、ネコは人や動物が動き回るのが見渡せる場所に行き着いて、嗅覚・視覚・聴覚に刺激を受けることが望ましい。
しかし獲物に集中して高所から急降下する行動(フライングキャットシンドローム)も知られ、高さ7m以上から落下すると死亡率は6%、生存しても心身にダメージを受けて緊急措置が必要な割合は37%に上る。こう考えるとネコにとっては落ちても心配のない屋根の高さ、せいぜい2階か3階の高さで建物が揃うのがいい。ネコの跳躍力は約1.5mだから、屋上の見渡し場所まで最大段差1.5m内で段差がついている。そしてネコが飛越できるように、建物同士の合間も空きすぎない。

地上を見渡しながら、屋根の上で佇む / 猫写真家 田中良直@田代島

(3)地上に隙間が連続している。長距離の移動のときには、外敵の目に付きやすい開かれた場所を避け、茂みや建物の合間、建物の上を好んで利用する。そうした途中にも隙間があれば、緊急時にもすぐに逃げ込める。従って、ネコにとっては、ほどよい大きさの建物が路地や隙間を挟んで並ぶ環境が望ましい。逆に、開かれた場所、つまりのっぺりとした長大な壁や見通しのよい道路が続くような環境は避けたい。だから道路を走って横断したりするのだろう。
(4)日当たりのいい場所や雨のかからない場所がある。ネコは一日の半分以上を寝て過ごす。瞬発性を要する狩猟のために、体力を温存するためだろう。しかし、低気温や雨のときは体温が奪われて、体力も回復しづらい。それだけにネコが体力を温存できるように、陽当りのいい場所、雨をしのげる場所があちこちにあることが大切である。
(5)たまり場がある。夜になると公園や空き地、境内などに、三々五々、ネコが集まって何時間もじっと過ごしていることがある。ソーシャル・ギャザリングと呼ばれる行動で、縄張りが重なるために諍いが起きないように、お互いの振る舞いと臭いを確認し合うためとも言われているが、本当の理由はまだよく分かっていないそうだ。ネコの生息密度は1㎢当り1~2,000匹と多様だが、食物の豊富な都市は密度が高くて縄張りは重なりやすい。したがってこうしたソーシャル・ギャザリングのためのたまり場が、街区に点在していることがネコたちには好ましい。

ネコのたまり場、陽当りが良くて車に邪魔されず、高低いろいろな居場所がある / 猫写真家 田中良直@田代島

(6)街区が緑地帯に囲まれる。ネコは、居住地域とは違う周辺の特定の野原や開拓地域に興味を持つ。ウサギやノネズミ、鳥類など、元々のネコの主な捕食の対象が生息していた場所、という遺伝的な記憶が働くのだろうか。人にとって、山菜取りや魚釣りが心から楽しく感じるのは、採集狩猟生活の記憶が働くから、というのと同じ道理である。そうすると街区はふだんの生活圏だが、その周縁が野原や緑地に囲まれているのは、ネコにとってはワクワクする環境なのだと考えられる。 なんて感じだろうか。

ネコに良ければ人にも良い

このようなネコに望ましい都市空間は、人にも良さそうだ。
(1)車の危険がない。生活道路に車が入らなければ、子どもも安心して外で遊びまわることができる。お年寄りも含めて、ゆっくり散歩できるし、立ち話も続けられる。ときには路上にテーブルを並べて、ということもできる。小学生が行く公園、個人宅の80%は、自宅から直線距離で500m以内にあるという点も、ネコの生活圏と重なっている。
(2)ほどよい高さで屋根が連続している。建物による圧迫感が避けられる。建物の圧迫感は、形態率(視野の中に建物が占める割合を示す壁面の立体角の割合)とアスペクト比(矩形の縦横比)で決定されるが、高さ10mまでであれば圧迫感は感じさせない。子どもたちが外で遊んでいても、見分けがついて声をかけることもできる距離感である。建物の軒高が揃うと、都市景観としても魅力的になる。
(3)地上に隙間が連続している。低中層建物の分棟形式は、高層や中庭型よりも適風域の風がよく起こる。窓を開けて室内に風を通せば、夏の体感温度も7~9℃下げられる。また隙間からは少なくとも1日に2回は光が奥まで差し込み、視線が通って表の通路に開放感や活気が生まれる。植栽を並べることもできる。
(4)日当たりのいい場所や、雨のかからない場所がある。人も日向ぼっこや雨宿りができる。特に小さな子どもは、こうした住まいに接続したこじんまりとした場所を主な遊び場にする。
(5)たまり場がある。ソーシャル・ギャザリングはネコだけでなく、人にも大事なことだ。こんなたまり場で、顔見知り同士がすれ違えば立ち話が始まる。後からメンバーも自然に加わってくる。2mほど幅があれば、他の人が立ち話の脇を通行するのも妨げられない。
(6)街区が緑地帯に囲まれる。緑地帯に街区がぐるっと囲まれていれば、そこは散歩やジョギングにもいいルートになる。一周3勸幣紊覆里納蟶△糞離である。緑地帯のところどころに公園が繋がっているとさらに豊かになる。その外側が車道になって騒音や排気ガスも発生するが、緑地帯はそれを和らげる効果もあるだろう。
といった特長である。

ネコシティ

人とネコの付き合いは数千年。収穫した穀物がネズミの食害に合わないように、とネコは人の社会に馴染んできた。いまでも、例えば、エルミタージュ美術館では所蔵する絵画をネズミの害から守るために50匹のネコが飼われているそうだ。
 そして人の暮らしにふさわしい街の構造に、ネコも数千年をかけて適応してきた。だから、ネコにいい都市空間は、人の暮らしにもいい都市空間なのだ。近代以降、急速に発達してきた車主体の道路網や高層ビル街は、ネコの本来の習性には向かない。居場所は奪われる。交通事故には合うし、高所感覚が狂って飛び降りたりする。人も、ネコと共に数千年もの時間を経て都市化に適う心身感覚を整えてきたのだが、車主体の道路網や高層ビル街にはなかなか順応できるものではない。経産婦のうち10階以上の高層階に居住していた群は、それまでの流産・死産率が38.9%に及ぶ、というのも動物として適応できないことの現れだろう。その一方、ネコが似合う下町風景に好感を抱くのは、ヒトにも自然だからだと思う。
 これからの街づくりは、ネコ基準でいこう。ネコシティができれば、風通しも良くて、道路やビル壁面などの輻射熱も抑えられるので自然の空調で結構いけて、そのままエコシティにもなる。

筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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