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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.77 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

都市景観を語る言葉 (8)粒ぞろい

(株)アーキネット代表 織山 和久

 都市景観を語る言葉を充実させて、少しでもよい建築や街並みができるようにしたい。そこで前回までの「恥ずかしい」「和む」「盛りすぎ」「謙虚」「水が合う」「木陰さまです」「人の道を外すな」に続き、今回は「粒ぞろい」を選んでみた。

不揃いの野菜よりも

 曲がったキュウリや小さなジャガイモなど、不揃いの野菜は人気がなくて相場の3割安にもなる。いずれも食べてしまえば形はなくなるのだが、人の好みはこれほど揃っていることに反応する。都市景観についても同様で、大小凸凹の街並みよりも、粒が揃っていることなどが好まれる。食べてしまえば形のなくなる野菜と違って、数十年、数百年もかたちが残るものだから、大事にしておきたい。

粒ぞろいの街

東京の下町の街並み。これでいいのだ!

同地区の建物分布図。幸せになる権利 それは皆に平等にある。

 右写真は、ある下町の街並みである。ゆるやかに湾曲した生活道路に沿って、木造二階建てがほぼ等間隔で建ち並ぶ。隙間から光や風が抜けて、視線も通るので通りの人とも挨拶が交わせる。 それぞれの建物の間口はおそらく3間(約5.4m)だろうか、縦横高さが揃っていてどの建物も街並みに調和していて違和感がない。道に対して大らかに開口部が設けられていて、開かれた雰囲気もある。いずれも外壁は白っぽく、反射光も生かして道を明るい印象にしている。
 一帯の地図をみても、巨大なマンションなどがなくて、建物の大きさがだいたい揃っていることが分かる。この街は何気ない雰囲気で、歴史的景観や高級住宅街というわけではない。でも、このように建物の粒がそろっているために、道行くほどに心地よさが感じられる。
 地割りも粒ぞろいなので、個々に建替えられて街の更新も滑らかに進められる。建替えのときに、どの建物も周りの街並みと調和するように計画していけば、魅力的で暮らしやすい街になっていく。たとえ不釣り合いな建物があっても、次の建替えのときにやり直せる。街としては統一感を維持しながら、新陳代謝が出来る。

不揃いの建物たち

東京都心部の光景。破壊を楽しんでんじゃねえぞおおおおお。

 一方、不揃いな街には根深い問題がある。右写真のように、木造戸建てや賃貸アパート、雑居ビル、タワーマンションと粒も外観もばらばらな街並みでは、視点を落ち着けることが難しい。圧迫感も相当なものだ。道はまっすぐで車が走行するにはいいのかもしれないが、日照条件も恵まれず、とても歩きたくなる感じではない。殺伐とした雰囲気が漂う。しかもいったんタワーマンションなどが建ってしまうと、老朽化してスラムタワーになっても建替えは容易ではない。所有者が何百世帯もいて総意がとりにくく、大規模修繕や建替えの資金確保が難しいからだ。将来世代が、この不揃いな街並みをなんとかしようと思っても、街の更新は難しい。将来世代には、大きな負の遺産になってしまう。

 日本の建築法規は、1970年に建築基準法で絶対高さ制限が撤廃されてから、容積率規制が主体になっている。このため高さは不揃いになった。その後も総合設計制度の導入で公開空地による容積率ボーナスが認められて、建物位置が凸凹で不揃いになった上に、高さも突出する。都市再生特別措置法になると、計画が良ければ容積率規制が除外されて、大規模な建物が乱立するようになる。こうして東京全体が不揃いな都市になる前に、容積率規制から粒度規制(絶対高さ規制、最低敷地面積に加え、縦横高さ計○○mを定める)に転換すべきなのではないだろうか。

筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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