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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.60 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

大規模マンションの社会的費用 (2)火災旋風

(株)アーキネット代表 織山 和久

  大規模マンションは、大地震のときに火災旋風を発生させて一帯を炎上させる恐れがある。火災旋風の被害は想像を絶する。しかも首都直下型地震等の被害推定には、この火災旋風の被害は想定外にされている。

 火災旋風は炎の竜巻である。関東大震災のときには旧被服廠跡地の空地に風速70〜90m/秒もの火災旋風が発生し、20分のうちに避難していた4万人もの人々の命を奪った。輻射熱(鉄の沸点 2,750℃以上)に晒されば身体は炭化する。炎から多少離れていても、熱風を吸い込めば肺は焼け付き、燃焼による酸素不足や有毒ガスで窒息する。おびただしい遺体が現場に残された。火災旋風は当時、これ以外にも東京で110、横浜で30もの火災旋風が川・水路付近で発生し,それら沿って進行して延焼被害を拡大させた*1

 旧被服廠跡地で火災旋風が発生するメカニズムは、実験で再現された*2。発生メカニズムとしては、7haもの広大な空地をL字建物が囲む配置が影響している。広場は火源ではないが、広場と建物の向こう側の火源方向から風が吹くと、広場は負圧になる。火炎による誘引も起きて、結果として側流が引き込まれて循環流が発達する。 実験では発生場所から数kmの移動も観察され、隅田川対岸への移動記録も裏付けられた。

 こうした配置は現在の東京でもよく見受けられる。幹線道路沿いは中高層マンションなどの建築物が建ち並び、交差点付近ではちょうどL字型建物の配置になる。L字の内側は木造密集地域であることも多い。旧被服廠空地と同様に、火炎旋風が発生する条件は不幸にして揃っている。こうした幹線道道路沿いに中高層の耐火建築を並べるのは、延焼遮断帯を整備する発想なのだが、結果的に火災旋風の発達を助長するのでは全くの逆効果である。火災旋風が幹線道路を移動して延焼を拡大することも十分に予想できる。

 こうしたL字の配置は、大規模マンションではお馴染みである。空地部分は駐車場に利用される例も多い。自動車には、ガソリン・オイル、タイヤ、内装材、配線被覆等の大量の可燃物が詰め込まれていて、火災時には短時間で燃焼する。有毒ガスも発生する。被服廠跡地ほどの規模ではないにしても、火災旋風が発生して周囲の木造家屋に延焼を拡大させる恐れはある。火災旋風が発生すれば、マンション内の居住者も無事ではいられない。
 タワーマンションが点在するような市街地も、火災旋風に見舞われる恐れがある。216m四方の角に22m×22mの40階建ての高層ビルを配置し、中心を火源とした設定による数値シミュレーションがある*3。その結果は、ビル付近は風が強くて循環流が発生し、中心部にはビルの合間から空気が入り込むために火災旋風が発達する、というものだった。火災発生時に低気圧が接近するなどでさらに風が強い、あるいは外側から延焼で流入風が強い、という状況であれば、この火災旋風の強度は増す。タワーマンション群にもこのように火災旋風を誘発する疑いがある。
 大規模マンションが発生させる火災旋風はどれほどの被害になるのだろうか? L字型を元に大まかに試算してみよう。木造密集地域では人口密度2万人/km2、家屋密度60棟/haとおく。巨大な火災旋風が10haを焼尽するとすれば、2千人、600棟もの被害を及ぼす。高熱の火災旋風では、木造はもとより耐火造でも被害に合う。人命まで金額に換算するのはためらわれるが、仮に一人1億円、家屋は2,000万円とすると2,120億円もの補償費用になるだろう。マンションは100m×60mの敷地二辺に200戸だとすると、被服廠跡は300m×230mとして大体660戸相当になる。この配置形状で地震時に巨大な火災旋風が発達するのが100件に1件だとすれば、一戸当たり320万円の負担になる。火災旋風の発生に関して、大規模マンションのオーナーが負担すべき社会的費用である。本来の防災なら、火災旋風が発生しないように建築や配置を計画するのが先決であり、例えば、低層の連結住棟形式を基本とすべきであった。

*1 防災科学技術研究所「防災基礎講座 自然災害について学ぼう」2006
http://dil.bosai.go.jp/workshop/01kouza_kiso/kasai/fire.htm
*2 林吉彦・増田秀昭・斉藤孝三・関本孝三・桑名一徳「火災旋風風洞実験による火災旋風発生メカニズムの解明」2005
*3 村本典子「火災旋風に及ぼす建物の効果」2009
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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