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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.59 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

大規模マンションの社会的費用 (1)スラム化

(株)アーキネット代表 織山 和久

長周期地震動の脅威

長周期地震動の実験で破断した梁接合部分

 長周期地震動が、タワーマンションに及ぼす被害は甚大である。耐震構造といっても、1往復6秒もの揺れが10分も続き、建物して共振した上部では3m の変形が100回も続くような地震動は想定していなかった。兵庫県三木市のE−ディフェンスに実大三次元震動台があり、そこに高さ80mの超高層建物を模した模型を設置し、東南海地震並みの地震動の影響を測定した*1。実験結果は衝撃的だった。骨組みの梁の付け根、柱側の下にひずみが溜まって、接合部12か所のうち3か所が破断したのである。実際の建物であれば、修復できず使用不能になる。構造専門家の間では。高層ビルの100棟に2〜3棟は崩壊するとも言われている。
 高層建物は地震の揺れを、しなりで吸収するように構造計算されている。このしなりには固有周期があって一般的な鉄骨造では、固有周期(秒)=階数×0.1≒高さ×0.02〜0.03 とされる。たとえば、50階建てのタワーマンションであれば固有周期は5秒。周期5秒の長周期地震動ではこの建物は共振して、ゆっくり10分前後も揺れ続ける。しかも震源が遠くても長周期は減衰しにくい。2004年の中越地震では、震源から200km離れ震度3だったが、六本木ヒルズが最大2m近く揺れてエレベーターはワイヤーが絡まるなどで一か月停止している。免震構造が施されていても、大きな揺れが10分続くと免震装置ですら破断や引き抜きなどの損傷を受けかねない。高層建築物は、長周期地震動から逃れられない。

東海地震による長周期地震動の発生地域
地震調査研究推進本部「長周期地震動予測地図」2009年試作版

廃墟タワーの放置リスク

スラム化したタワーのイメージ

 高層に居住していて、大規模な長周期地震動に見舞われたら事態は深刻である。揺れで人も転倒するし、冷蔵庫や家具などは床を走り凶器と化す。避難階段も接合部に損傷を受ければ使えない。エレベーターも停まる。配管が一か所でも断裂すれば上下水道、ガスなども通じない。スプリンクラーが異常作動すれば、地下の電気室まで冠水して停電も長引く。実験のように、骨組みが破断すればもはや使用不能である。タワーマンションを選んだ結果として被る震災リスクは、これほど深刻である。
 使用不能になったタワーマンションだが、解体するにも高層ほど工期も工事費もかかる。40階建てでは、解体に2年、工事費は10億円を超すと言われている*2。所有者にすれば、住戸が使用不能になった上に、解体だけで1戸当たり300万円を超す負担が加わる。こうした負担に納得する区分所有者が、全体の4/5以上がいないと解体の決議も得られない。
 合意がなくて、使用不能になったタワーマンションが廃墟となってそのまま放置される。強い余震を受ければ、崩壊もしかねない。素性の分からない人々が住み着いて、スラム化する恐れもある。都市景観もすさむ。地域社会にとっても大きな負担を強いられる。

建替えの難しさ

 実は震災がなくとも、大規模ないし高層になるほどマンションは、こうしたスラム化の恐れがある。数十年もの耐用年数を過ぎて、建て替えに迫られる時期は必ず到来する。費用面では、解体・建替えに一戸当たり2千万円はかかるだろう。建て替えで余分な床が生じるわけでもないので、すべて自分たちで賄わないといけない。期間面でも、40階建てでは解体に2年、設計・工事にさらに4年かかる。工事は1階ごとに3-4週間かかるので、高層になるほどこの期間が長引く。区分所有者も高齢になると、5〜6年先まで待てるものだろうか?
 建て替え決議には、区分所有法では区分所有者数の5分の4以上の賛成と議決権の5分の4以上の賛成による決議が必要になる。建設的に話し合いができる世帯数ならともかく、これだけの数の区分所有者が2千万円の費用負担と6年もの待ち時間に合意を形成するのは難しいことだ。建て替えの決議が先延ばしになると、空住戸が増えて管理費未納の割合も高まってしまう。そうなると大規模修繕どころか日常の清掃・管理も満足に出来なくなるマンションも増えるだろう。震災を免れても、将来のスラム化が懸念される。

スラム化の社会的費用

 廃墟タワーが放置されてスラム化すると、周りの環境や景観は荒む。崩壊の恐れもある。自治体が除去命令を下しても、区分所有者たちは解体費用を負担できない、としたらどうなるだろうか?
 困ったことに、タワーマンションが乱立して、しかも長周期地震動が増幅されるのは、沿岸部で液状化しやすい地域である。震災で土地も液状化してインフラも損傷を受ければ、解体後の更地でもおいそれと買い手はつかない。廃墟タワーを公的負担で解体せざるとえないとしたら、一棟あたり10億円ほどの解体費の負担を肩代わりするはめになる。結局は、納税者の負担である。周りの住民は、高層建築物には、眺望を損なわれ風害や混雑に悩まされるだけではなくて、将来の解体費用のツケまで回される。
 このようにスラム化に関わるタワーマンションの社会的費用は、一棟当たり10億円前後、一戸当たり数百万円に上る。本来なら、こうした費用は事前に公的に徴収すべきものだろう。販売時に、販売価格に将来の解体費用数百万円を上乗せし、解体費用分は自治体に供託する、といった方式なら納得はいく。タワーオフィスも同様だろう。でもロクに議論もされずに野放しされているのが実態である。

*1 長江拓也,梶原浩一,福山國夫,井上貴仁,中島正愛「E-Defenseにおける超高層建物実験」2010
http://www.bosai.go.jp/hyogo/research/project/pdf/aij-draft.pdf
*2 村田真「超高層マンションの解体シミュレーションがあった! 2007
http://www.nikkeibp.co.jp/news/const07q3/544918/
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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