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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.57 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

木造・戸建ての社会的費用 (4)都市空間の無駄遣い

(株)アーキネット代表 織山 和久

東京の土地は生かされていない

上記表をクリックすると拡大画像をご覧頂けます。

 「日本の国土は狭くて平野部も限られている。これだけたくさん人が集まれば、家は小さくても仕方がない」というのが一般的な見方だろう。でも実態は違う。東京都区部でも土地は規定の58.9%しか生かされていない。世田谷区を例にとると、宅地面積は34.6m2。都市計画上で指定される容積率は平均で168.5%だから、58.4m2までは建物面積として生かせる。けれども実際の建物延床面積は35.1m2、つまり指定容積率に対して充足率は60.2%になる。充足率はほか、渋谷区でも72.1%、目黒区67.2%、練馬区55.7%と並ぶ*1
 要するに、東京都区部の都市空間は4割が生かされていないわけだ。うまく生かせば、現在の7割増しにもなるのだから勿体ない。家が小さいのは、国土が狭いからではなく、土地を生かし切っていないからだ。

戸建てが土地を無駄遣い

 このように土地が生かし切れていない原因は、どこにあるのだろうか? 都市部なのに、集合住宅ではなくて、戸建てが多いからではないだろうか?
 都区部の戸建ての平均敷地面積は126m2、これが997千戸*2だから、戸建ての総敷地面積は123.6m2になる。一方、都区部の全宅地面積は286.5m2。つまり戸建ては都区部の宅地の43.1%を占めている。けれども専用住宅のうちの戸建ての割合は、22.7%に過ぎない。戸建は宅地の4割強を占めながら、住宅の2割にしかならないわけだから、戸建ての空間利用効率の低さが裏付けられる。
 さらに23区ごとに、専用住宅に占める戸建ての比率と、指定容積率に対する充足率とをとって両者の相関を調べてみた*1。明らかなったのは、戸建ての比率が高いほど充足率は下がるという傾向である。対数近似によれば、充足率が下がる要因の約8割もが戸建比率の高さで説明される。やはり戸建てが、都市空間の無駄遣いの主犯だ。

戸建ての実態

 実際に東京の街を見て回ると、戸建てが都市空間を無駄遣いしている実態がよく分かる。
 渋谷区にある南側が開けた街角だが、平屋の老朽木造家屋がブロック塀を張り巡らせている。
 杉並区にある広大な緑地には、道路沿いに廃屋が二軒連なっている。窓ガラスは割れて木の外壁は崩れ落ちたままだった。
 街道沿いの駐車場の隣には、古い平屋が日影の中に残されていた。

 老朽家屋だけではない。新築でも戸建ては土地を生かし切れていない。建売戸建ては、専有面積に対して少しでも安く見せようと容積率一杯に床をとろうとする。けれども区画を小さく分割するために、区画境からおのおのに50cmの余白もできるし、境界線からは個々の建物に斜線規制もかかって上階の階高がとれなくなる。

左の建売住宅群の屋根がどれも斜めに切られる形になっているのは、斜線規制のためだ。さらに、どの区画も道路まで2m以上の幅員でつながっていないと建築できないので、その分も割かれる。こうして新築戸建もせっかくの容積を十分には生かし切れない。大きな区画を細分化せずに集合住宅をつくれば、境界沿いの余白も不要だし、屋根も斜めにならないので上階の階高も確保でき、敷地内通路に余計に土地を割かなくてもいいのに、好対照である。

地権者は応分の負担をしているか?

 都市空間の無駄遣いという指摘に対しては、「自分の土地なんだから、どう使おうと自分の勝手だろ! 人様にとやかく言われる筋合いはない」といった意見が圧倒的だろう。私権の絶対性という考え方だ。
 でも土地を私有するにしても、地権者は応分の負担をしているのだろうか? 都区部の土地所有状況を調べると、上位6.2%(500m2以上)、わずか7.6万の所有者で総宅地面積の49.9%を占める*1、という集中度合いである。その多くは、農地解放で払下げを受けた元小作人、財産税負担に苦しむ大家から譲渡された元借家人で、取得経緯は他力だった。土地の資産価値が上がったのも、高度成長期によりよい仕事を求めて年60万人も東京圏に流入してきたためで、これも他力だ。資本化仮説によれば、都市集積の利益(生産性が高い、娯楽が豊富など)は土地代の上昇分としてすべて吸収される。地主は丸儲けである。
 そして基盤整備や社会保障に費やされる税金(国税+地方税、1976年度)は、個人所得税35.7%、法人所得税29.5%*3と大半を働く人びとが負担している。一方、資産課税は15.8%。特に宅地では固定資産実効税率は0.12%(1975)*4、と地主の負担はほとんどない。課税標準が、実勢価格の5-6割になる上に、小規模宅地の優遇でこの1/6になる措置で、木造アパートでもつくれば大地主も負担を免れたのである。さらに相続税も自宅240m2までなら評価額は1/5、法定相続人が3人なら基礎控除額は8,000万円、従って実勢価格7億円前後まで相続税はかからなかった。結局、地権者たちは応分の負担を免れてきた。たくさん土地を持っていても大して税金もかからないから、土地利用も戸建てと木造賃貸アパートぐらいとほどほどでいいし、老朽家屋や廃屋が残っていても建替えない。指定容積に応じて低層の集合住宅に建て替えれば、追加負担もなく自分たちの住戸も確保できたし、働く人びとも都心部に住戸を持てたはずである。
 こうして都市部にはこのような通勤せずにすむ層が暮らし、郊外から働く層が毎日そこを飛び越えて職場と通勤2時間かけて往復する、しかも社会的負担は働く層がほとんど負う、というたちの悪い冗談のような都市構造が東京の現状である。働いて郊外に家を建てた人びとの立場からしても、もっぱら大地主を利するような固定資産税等の優遇措置は廃止させ、その分、所得税や法人税を安くしてもらえば良かったのだ。

戸建ての土地無駄遣いの社会的費用は、1,300万円/戸

 東京の都区部なのに、戸建てが土地を無駄遣いし、地主たちは税制優遇を受けて応分の負担をせずになかなか建て替えも進まない。この社会的費用を試算してみよう。戸建てが一戸増減すると、どれだけ充足率が変化するか、を求めればいい。つまり、y = -0.274ln(x) + 0.1625 の微分係数を求めるのだから、答は、-0.274/一戸建て比率 になる。都区部全体では一戸建て比率は0.277だから、充足率は-1.21ほど変化する。都区部全体の充足率が58.9%だから、戸建て一戸分が減ればそこの充足率は71.2%、概算容積率は151.1%から182.6%に上がるという試算結果になる。東京23区の公示価格平均が484千円/m2(ちなみに実勢価格はその20%増し)、戸建ての平均敷地面積が126m2だから、土地無駄遣いの社会的費用(戸建て一戸当たり)は、 (182.6%-151.1%)/151.1%×484千円/屐126m2=1,271万円 という金額になる。相応の負担もないまま、土地利用効率に劣る戸建てを都心部に残しておくのは、約1,300万円も無駄にしていることになる。もし都心部の土地を生かせば、職住近接で通勤時の疲労も大きく減るし、帰宅後の時間をより豊かに過ごすこともできる。郊外と違って徒歩・自転車・電車が主になり、自動車に頼らない暮らしもできて、家庭からの温暖化ガスも27%削減もできる*5。実にもったいないことだ。

*1 東京都「東京の土地 2010」平成23年
*2 総務省「平成15年 住宅土地統計年報」 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000000050158&cycode=0
*3 国税庁「所得・消費・資産等の税収構成比の推移 http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/report/2003/japanese/tab/tab05.htm
*4 国土交通省「固定資産税実効税率 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000000050158&cycode=0
*5 全国地球温暖化防止活動推進センター「家庭部門における二酸化炭素(CO2)排出の動向」
http://www.jccca.org/home_section/homesection01.html
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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