中立・公正に調査・評価して、東京圏の優良な中古・新築マンションをご紹介

トップページ 運営団体 サイトマップ 利用規約 プライバシーポリシー
マンション評価ナビ 日本初の中古マンションの調査・評価情報サービス。国土交通省「超長期住宅先導的モデル事業」に採択されました。マンション評価情報は広告ではありません。 サイト内SEARCH キーワードで探す
中古マンション 新築マンション 不動産会社情報 評価者ブログ 選び方ノウハウ 初めての方へ

マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.54 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

木造・戸建ての社会的費用 (1)火災

(株)アーキネット代表 織山 和久

戸建神話

 住宅すごろくの上がりは、一戸建てだった。マンションはとりあえずの住宅形態として捉えられてきた。最近の調査*1でも、今後望ましい住宅形態を聞いたところ、「一戸建て」と答えた者の割合が77・0%、「マンション」11.2%という結果だった、東京圏でも、一戸建て68.6%、マンション18.2%、どちらでも18.2%といった傾向である。土地の転売価値が落ちないから、といった理由が大きい。政府の住宅制度・政策でも、公庫は土地付き一戸建て向けの融資が先行し、木造は構造計算書を免除されたり、と土地付き一戸建てを優遇してきた。住民意識も戸建てが上にくる。コーポラティブハウスの工事挨拶で近隣をまわっても、「戸建てならいいが、集合住宅は似合わない」といった声をしょっちゅう耳にする。戸建神話はいまだに根強い。
 でも戸建ては、本当に都市住宅にふさわしい住宅形態なのだろうか? 都市部の木造・戸建ては、災害補償や都市空間利用、資源消費など周りに大きな外部不経済を生んでいるのではなだろうか? そしてその社会的費用を、自分では負担せずに他に負担させているから有利なのではないだろうか? もしこれらが立証されるなら、都市部の木造・戸建て、公害の元凶だとも言える。これから木造・戸建ての社会的費用について、ひとつひとつの要因を検証してみたい。

延焼リスク

 木造・戸建ての公害の一つが延焼だ。平成22年度の東京の出火件数は5,341件*2、木造の延焼率は29.2%、耐火造の2.6%*3とはけた違いである。そして延焼限界距離は、床面積100m2のとき、耐火造0m、準耐火造3mに対して、木造防火構造6m、純木造12mを要し、密集市街地では延焼を防ぐのに十分な隣棟距離はまずとれない。また延焼を起こしても、失火責任法(1899)のせいで延焼させた家屋への損害賠償責任は負わずに済ませられる。ちなみに東京消防庁の予算は2,440億円(2012年度)に上るが、木造の所有者がより重く負担しているわけでもない。
 延焼の被害が最も深刻になるのが、首都直下型地震の発生時である。環6・環7沿いに目立つ木造密集地域で火災が起こると、短時間で燃え広がる。被害最大ケースでは、東京都で実に41万棟の建物が火災で焼失すると予想されている*4。都内の木造住宅が54万戸、防火木造が167万戸*5だから、その焼失割合は2割近い。大変な割合ではないか!

焼失棟数の分布。環6・環7沿いの木造密集市街地に被害が集中する

 そして幅員の狭い道路で火災が広がると、避難所までの避難路も塞ぐ。火災による死者数は約4,000人、負傷者は約18,000人*4。この数字の中には、自分は耐火造に住んでいながら、周りを木造に囲まれて逃げ場を失った犠牲者も含まれよう。関東大震災や東京大空襲では10万人規模の犠牲者を出していることを考えると、桁違いの犠牲者になる恐れもある。

復興費用は誰が負担するのか?

 復興費用はどうなるだろうか? 阪神淡路大震災の例では、全壊・半壊家屋が約25万棟、住宅関連経費は1.1兆円であった*6。ざっと試算すると一棟当たり440万円の公費が費やされている。ちなみに、東日本大震災の被災者が入居する仮設住宅の建設費は、宮城県の平均で一戸当たり744万円*7になっている。「地震は天災だから公的に補償する」という考え方では、首都直下型地震では焼失家屋の再建に1.6兆円が費やされるだろう。
 でもこの公的補償ははたして公平なのだろうか? 非人道的だ、社会の絆を無視している、などと非難されるかもしれないが、ここであえて指摘しておきたい。被害想定が公表されたように、木造・戸建てが震災火災に脆弱なことは周知の事実だ。焼失リスクを事前に知りながら、建て替えを怠って被災したのであれば、再建費用はすべて自己負担するのがスジだ。そうでないとより費用をかけて耐火造に建て替えたり、転売して耐火造に移転したり、もともと耐火造に暮らしている人びとに対して不公平になる。東京都の住宅のうち、鉄筋・鉄骨コンクリート造は310万戸、鉄骨造は62万戸、住宅総数の6割強を占めている*5。木造に比べて耐火造の工事費は数倍になるが、こうした火災に強い建物を選んだ人びと(と被災地外の人びと)に、火災リスクを承知で安価な木造を選んだ建て替えなかった人びとがただ乗りする格好である。

木造戸建ての建て込む区画。隣棟間隔もわずかで、延焼が広がりやすい

火災リスク分は200万円

 地震による火災リスクに備えるための公平な方式としては、まず「火災は木造保有者の自己責任であるから、震災時にも公的補償はしない」と政府や自治体が公表することだ。
 そして、木造家屋については一戸当たり平均88万円に経費を加算した額の焼失対策基金を強制的に徴収し、焼失家屋には440万円を給付するのが妥当であろう。一般に保険の経費率(審査・査定、事務、資金管理など)が50%近くであることを考えると、一戸当たり平均200万円弱が拠出額に相当する。ただし、この金額には避難路を塞いだこと等による犠牲者への補償は含まれていない。 このように、都市部の木造の社会的費用は、火災リスクだけでも200万円弱になる。けれども、この社会的費用は、いまはもちろん未払いである。

*1 「土地問題に関する国民の意識調査」の概要について 国土交通省 平成22年
http://tochi.mlit.go.jp/wp-content/uploads/2011/02/2010kokumin.pdf
*2 平成24年版 火災の実態 東京消防庁
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-cyousaka/kasaijittai/h24/index.html
*3 平成23年版 消防白書 総務庁消防庁
http://www.fdma.go.jp/html/hakusho/h23/h23/html/2-1-1a-5_1.html
*4 首都直下地震の被害想定 内閣府
http://www.bousai.go.jp/syuto_higaisoutei/pdf/higai_gaiyou.pdf
*5 平成20年度 住宅・土地統計調査 総務省統計局
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001025143&cycode=0
*6 災害復興における経済的諸問題 豊田利久 2006
http://www.fukkou.net/e-japan/report/files/report_07.pdf
*7 毎日新聞 2012年10月5日
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

新着情報

最新評価情報
新築評価3件, 中古評価2件追加
公開中の評価マンション
中古 455件
新築 38件

マンション評価こぼれ話
東京・神奈川・千葉・埼玉のマンション査定ならストックマンションカタログ
マンションの注文住宅「コーポラティブハウス」
コーポラティブハウス募集プロジェクト情報
スマイスター不動産売却
東京ガスの快適マンションライフ
さくら事務所