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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.50 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

コーポラティブハウスとコミュニティ(2)  前庭

(株)アーキネット代表 織山 和久

前庭の感想

 長屋建てのコーポラティブハウスには、各戸の玄関が面する通路がポイントになります。建築家の意図としては、住民同士の日常的なふれあいの場として、外の世界からちょっと中に入って内々で和める場として、しつらえられています。下の写真もそんな一例です。

 実際にお住まいの方々に、感想を伺ってみました。

 「前に住んでいたマンションだと、隣の人の顔も名前も知らず会わないで暮らしていました。二年ぐらい一緒にプランした仲間同士、話もよくするけれど、べたべたはしないほどよい間柄です。家の中に入ると静かで隣の物音もしません、マンションとは違いますね。」

「お隣のお子さんが大きくなっていくのが楽しみです。ご近所の空気感が中庭を通して感じられます。誰かが出てくるのが分かります。一緒になると『○○ちゃん、小学校行ったね』『○○ちゃん、大泣きしていたなあ』『女の子なので自転車のヘルメットをかぶるのが嫌なのか』とちょっとした会話になります。ベビーカーの上げ下ろしを手伝ったり、朝の出がけに挨拶をしたり。」

 「子どものいないうちでも、(子どもの相手など)すっと入らせてもらえます。」

 前庭が、コミュニティを育む空間として予想以上にはたらいていることが分かります。

近隣ストレス

 けれども、単純に前庭があればいいというものではなさそうです。コメントにもありましたが、室内は静穏で、お互いに気遣う間柄だからこそ、前庭の気配を楽しむゆとりが生まれると思われます。
 対照的なのですが、一般の中高層住宅居住者への詳細面接調査*1によると、音やモラルに係ることに相当のストレスを感じていることが分かります。
 音では、子どもの飛び跳ねる音、遊び声や泣き声、ドアの開閉音、共有部分の立ち話の声などについては、8割前後が意識して、半分以上の人々が迷惑に感じています。モラルについては、ゴミだしのルールを守らない、つばを吐いたりタバコの投げ捨て、掃除をしない、といった行為も半数以上が目にして、迷惑に思っています。よく顔を見かけても挨拶をしない、については、46.3%の人が経験して24.7%の人が気まずい思いを抱く、という様子です。
 十数年前の調査ですが、通常のマンションなどでは、集まって住むことが音やモラルなどの原因で心理的なストレスになっていることが伺えます。先のコメントからも、マンションの音の問題や近隣関係の希薄さがほのめかされているように、いまでも状況はあまり変わっていないのでしょう。

音の問題

 音の問題は、床の厚み次第です。スリッパを引きずる音などの軽量衝撃音は床材でも解消できますが、跳び下り音やイスの移動音など重量衝撃音は床が厚いほど緩和されます。界壁を超える空気伝搬音も壁・床の厚みがあると全くというほど聞こえなくなります。
 ちなみに一般的なサイズ(20m2)で比較すると、スラブ厚200mmの性能は遮音等級表示LH-50(人の飛び跳ね音が小さく聞こえる、物の落下音・イスの移動音が聞こえる)程度、160mmではLH-55(人の飛び跳ね音が聞こえる、物の落下音・イスの移動音が気になる)ほどです。これでは意識して、迷惑にも感じることでしょう。
 これがアーキネットのコーポラティブハウスは一般的な低層で壁式コンクリート造になると、スラブ厚250弌LH-45(人の飛び跳ね音が聞こえるが意識することはない、物の落下音・イスの移動音が小さく聞こえる)という遮音性能になります。低層なので壁式コンクリート造で床壁の厚みが必要だったのですが、それが生活音を遮るにも一石二鳥で効果的です。「家の中に入ると静かで隣の物音もしません、」というのは、こうした構造に由来するのでしょう。家の中ではお互いの音が気にならないので、隣近所で屈託なく付き合うことができるのだと思います。
 よく知られているように、音の問題では心理的な側面も重要です。隣人と顔見知りになると、小さな音は気にならなくなります。お互い様という気持ちになるし、一言注意すれば配慮してもらえるという安心感があるからでしょう。さらに「お隣のお子さんが大きくなっていくのが楽しみです。」という気持ちであれば、中庭からの声や音が騒音どころか楽しみになるわけです。

モラル

 前庭がきれいで心地よい場所でありつづけるのには、お互いのモラルが大事です。
 調査に見られるように、通常のマンションで共用部の使い方でモラルが乱れるのは「いい加減なことをしても誰がやったか分からないし」という匿名性が原因になっています。人数も多いうえにお互いに面識がなく、人目につきにくい共用部分も多いことが元です。
 これが数世帯から十数世帯のコーポラティブハウスであれば、お互いに共有部分について責任も感じられます。2年近く一緒につくるプロセスを経て、お互いに気心が知れています。いい加減なことをしようとは思いません。
 そして「何かあっても、皆で建設的に話し合って決められる」という安心感も大事です。近隣ストレスの調査では、何か問題が生じたときに「直接本人に言って問題を解決しようとする」人はストレスが低い傾向で、「他人に頼む」が±0、「我慢する」はストレスが高い傾向を示しています。これは要するに「当事者に言えば何とかなる」という対処可能感が関係しているものと考えられます。
 コーポラティブ方式では一緒につくるプロセスを経ていて、入居後もお互いに話し合う要領もお互いにつかんでいます。入居者の方のコメントも「誰が何をピアノの弾くのも8時まで、とかルールをみんなで決められます。」「新しく車を買ったから駐車場を使う、組合費はいくら、といった新しい話も一年に一回集まって決められます。この間は下の住戸の人が、地面が傾斜で使えないのでテラスにしたいけれど、と言う話でしたが、スムーズに話も工事も進んでいます」といったように、対処可能感の作用を裏付けています。

ふれあいの場

 このようにコーポラティブハウスでは、住戸間の遮音性、共有意識、対処可能感といった条件が整うからこそ、前庭を介してコミュニティ意識が育まれるのでしょう。
 ほかのところでも、前庭の意義として同様のコメントを伺います。「朝夕、お互いに挨拶をして一日気持ちいい」「隣人のペットと仲良くなって、自分も飼うことになった」「ちょっと立ち話をして気持ちがほぐれる」「婚活の首尾を話しては励まされる」「鍵を忘れた隣の児童を預かってもらった」「海外赴任のお別れ会で花火をした」「成人式の記念写真を一緒に撮る」「外壁の汚れを見上げているうちにみんなが集まって方針が決まる」…
 集まって暮らすことが、ストレスになるのか、楽しさになるのか。長い間暮らしていくことを思うと、ずいぶんな違いです。ヒトはその昔から、集まって暮らすことで環境に適応してきました。以前にも紹介しましたが、個人間の絆が強まるときには、ヒトの脳内ではオキシトシンという神経伝達物質が分泌され、愛情や信頼といった感情を呼び起こされます。オキシトシンは、不安を取り除き、安らぎをもたらし、気分を高揚させる、と報告されています*2。前庭とそれが生きる条件は、ヒトには生来のものなのでしょう。大事にしたいものです。

*1 山内宏太朗・渡辺圭子「近隣ストレスの尺度構成に関する研究」1994
*2 松本明「オキシトシンは信頼ホルモン?」2006
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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