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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.48 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

スマートハウスは誰のため?

(株)アーキネット代表 織山 和久

新しい街づくりとしてのスマートコミュニティのイメージ
研究調査はすでに進められ、政府広報も積極的に行われている。

 暑さ寒さに弱い人もいるでしょうし、日照に恵まれず、排気ガス等で外気が使えない立地条件もあるでしょう。そうした事情から、600万円以上が上乗せになりますが、スマートハウスを選ぶのも合理的になるケースもあると思います。ハウスメーカー各社もモデルを発表しています。けれども、スマートハウスやスマートシティを「政策」として採り上げて、新産業育成に予算をつけ、認証・検査制度を整備し、導入世帯に補助金を与えるというのは、温暖化対策を願う一般市民のためにはなりません。政策となるとどんな事態になるか、予想はつきます。

認証の利権

 まず、有力な国内メーカーを交えて、スマートハウスのための標準規格が定められるでしょう。日本独自規格になるので、高品質あるいは安価な海外メーカー品は排除されます。標準規格への適合認定等で、所轄官庁には裁量権が生まれて政治介入の余地が残されます。さらに適合試験として、省エネ効果の長期測定や火災に備えた燃焼実験等があると思いますが、その実験作業のために所轄官庁の下に外郭団体が設けられることでしょう。当然に天下りの温床になります。
 そうした認定・実験費用も嵩み、最終的にはメーカーから一般市民へ丸々価格に転嫁されます。規格外は補助が受けられないという独占状態ゆえです。参考までに、化学物質審査規制法に係る長期毒性判定などの試験の実施費用は、ざっと4億円以上です*1

検査の利権

 次に、個々の住宅の設計・施工について、それがスマートハウスの基準に適合しているか、を実地に審査・認定する手続きが必要になります。指定の検査機関に適合検査をしてもらうことになりますが、そこでも適合証明手数料が発生します。目安とすれば、フラット35Sの優良住宅適合証明のみをとる手数料 8万円弱位でしょうか。
 審査・認定の作業は、建築確認と合わせて民間の指定確認検査機関に委ねられるにしても、所轄官庁の外郭団体がその指導・監督に当たります。資格審査、必須の講習会、立入検査など、裁量や人手のかけ方もこの外郭団体の裁量範囲です。

業界指導の利権

 すでにスマートコミュニティでは、100億円単位で予算化もされています。経済産業省の平成24年度概算要求では、スマートコミュニティの構築として、国内4地域の実証事業に126億円、技術実証事業に28億円が投じられます。相も変わらない、政府主導による新産業育成のパターンです。1970年代からの超LSI共同開発、1980年代の第五世代コンピュータ、90年代ではバイオテクノロジー、と失敗続きで総括もありません。00年代ではロボット、旅客機という塩梅です。でももし事業機会が見込めるなら、内外の民間企業が開発競争を繰り広げ、さっさと事業化しているはずです。こうした産業育成政策は、省内に部課が新設できてポストができる、民間企業を従えて産業を左右したい、という管轄省庁の欲求以外に何が満たされたのでしょうか? 先日、エルピーダが経営破たんしたように、国策プロジェクトとして税金を無駄に遣った挙句、価格体系を歪めたという結果が残る位でしょう。

スマートハウス・スマートコミュニティの成果

天下り先を不可欠にするような制度設計が問題である

 スマートハウス、スマートコミュニティの本来の目的は、温暖化ガス排出抑制だったはずです。そして、温暖化ガス排出量を抑制できるのは、10%程度に過ぎません。節電やエコ運転などのカイゼンで30%。車や便利家電などを元から使わないと58%、という抑制効果に比べて見劣りします。スマートハウス仕様で600万円超、仮にその5%が補助されるとして30万円。そのために、大ざっぱにみて1戸当たり10万円ほどの行政コストが新たに発生することになります。スマートハウスが仮に100万戸できたとすれば、補助金3,000億円に追加行政コストは1,000億円相当ですから大きな利権になります。右図のように天下りの新たな受け皿にもなるでしょう。けれども本来の目的である温暖化ガス効果は、全体で年50万tに留まります。

炭素税に如かず

 そもそも温暖化対策の目的に最も適うのは、炭素税の導入です。ある試算によれば一人当たり840ドル相当の負担です*2。割高になる分、石油・石炭の消費量も下がり、温暖化ガス排出量が削減できます。日本全体で年8兆円、このうち年1兆円でも熱帯雨林保全に投じれば、毎年8.3億tの二酸化炭素排出量を相殺できます。日本全体の温暖ガス排出量は約13億tですから、劇的な貢献ではないでしょうか。
 また個々で温暖化対策をすれば炭素税負担は減らせるので、車を使わない、便利家電に頼らない、住まいの風通しを良くする、といったエコライフを送ることへのインセンティブが働きます。スマートハウスを買わないと補助金が出ない、という不公平さもありません。また企業側にとっても、地道な省エネ対策はもとより、温暖化対策の広範な技術革新も報われるので、予想を超えるような産業も生まれるでしょう。
 また温暖化ガスの元は石油・石炭で、ほぼ全量が輸入されるのですから、通関時に炭素税を賦課するだけで、追加の徴税コストも大してかかりませんし、余計な外郭団体等もいりません。

誤魔化されてはいけない

 この炭素税の仕組みに比べると、スマートハウスやスマートコミュニティといった政策は、効果でも効率でもまるで話になりません。どうも温暖化対策は名目で、本当は管轄省庁の権益を増やすためだけなのではないでしょうか? スマートハウス及びスマートコミュニティ事業は、環境や人々のための政策ではありません。
 これから、政府広報やハウスメーカー各社で大々的に宣伝されて、「環境に優しいから、スマートハウスやスマートコミュニティはいいな」と思わされるかもしれません。けれどもスマートハウスの温暖化ガス排出抑制の効果は、炭素税はおろか暮らし方の工夫にもはるかに及びません。そのために管轄官庁や外郭団体に数十%も余分に税金が回り、天下り先が増えるぐらいです。関係者が広告主になるので、新聞・テレビも表立ってはあまり批判しないかもしれません。それだけに、くれぐれも誤魔化されないように。

*1 厚生労働省「化学物質審査規制法に係る試験の実施費用と期間について」
*2 宇沢弘文「排出権取引は虚構 世界が認めた地球温暖化対策とは」WEDGE 2008.10
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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