中立・公正に調査・評価して、東京圏の優良な中古・新築マンションをご紹介

トップページ 運営団体 サイトマップ 利用規約 プライバシーポリシー
マンション評価ナビ 日本初の中古マンションの調査・評価情報サービス。国土交通省「超長期住宅先導的モデル事業」に採択されました。マンション評価情報は広告ではありません。 サイト内SEARCH キーワードで探す
中古マンション 新築マンション 不動産会社情報 評価者ブログ 選び方ノウハウ 初めての方へ

マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.44 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

エコとコーポラティブハウス(2)
エコ評価の問題

(株)アーキネット代表 織山 和久

省エネ住宅の行きつく先

 省エネ住宅とは、エアコン使用を前提に消費エネルギー量を少なくできる住宅だそうです。エアコンで暖めたり冷やしたりした空気をできるだけ外に逃がさないように、高断熱・高気密化が求められます。熱効率を保つためには、開口部も小さくしてペアガラスにするのが効果的ですし、空間を小割りにして冷暖房の対象を絞るのも有効でしょう。

東芝 置けちゃうスリム GR-D43N(NS)
[シャンパンシルバー]

 その行き着く先は冷蔵庫のような住まいの姿です。「環境配慮の省エネ設計、うるおいたっぷりの冷気で新鮮長持ち、狭い幅でもすっきり置けるスリムタイプ、5部屋」といった仕様は、商品住宅と驚くほど似通っているではありませんか。
 でも冷蔵庫のような住宅に暮らすのが居心地良いと感じる人はまずいらっしゃらないでしょう。息が詰まりそうです。日向ぼっこが好き、窓の外を眺めるのが好き、という方に開口部が小さいのは不満です。家族の気配が感じられる住まいであれば、空間を小割りにせずに連続させます。大らかな空間でゆったり過ごしたいという方に、吹き抜け空間は冷暖房の効率が悪いからダメ、というのも奇怪です。暮らし方に合わせて住まいを考えるべきなのに、エアコンの冷暖房効率から住まいを考えるのでは本末転倒です。そこまでして断熱材やガラスの業界を潤したいのでしょうか?

足裏加熱が効果的

 足裏加熱の効果を検証した実験結果*を紹介しましょう。温冷感で暖かくも涼しくもないという室温は、足裏非加熱時で23.8℃、足裏加熱時で20.3℃です。つまり足裏を加熱することで室温を3~4℃以上も下げられるとは驚きです。さらに「暖かい」「涼しい」といった全身の温冷感を、設定室温、床面温度、風速等を加味した体感温度、部屋の上下の温度差といった4つの説明変数を変動させて個々の影響度合いを測ってみました。それぞれの影響度合いを数値化すると、室温は1.799、床面温度が5.568、体感温度で1.525、上下温度差は1.648という結果です。要するに足裏を温めるのが人体の感覚としてははるかに効く、しかも快適感も高い、というこれも驚きの結果でした。
 エアコンで空気を暖めるよりも、床面から足裏を暖める方がはるかに効果的なのです。冬にオープンカーを走らしても、足元や背中がホカホカしていれば快適なのと同様です。この実験結果を踏まえると、足裏が暖かければ暖かい・心地よいと感じる住宅になるので、高断熱高気密である必要はなくなります。大きな開口部を設けても、一体的な連続空間にしても、吹き抜け空間にしても、冷暖房効率を優先させて居心地良さを犠牲にする必要もありません。暮らし方から住まいをつくればいいだけです。

足裏加熱の方法

ホカロン くつ下に貼るタイプ 5足入(靴下用 カイロ)

地階リビング。南側吹き抜けから入る日照が床面を優しく暖める

 あとは足裏加熱の方法を工夫することでしょう。部屋全体の床をずっと暖めるなら、床暖房が人気です。立ち上がりが遅い、コストが高い、使える床材が限られる、と短所も指摘されますが、ずっと室内で過ごす方には向いています。空気を汚したり動かしたりしないのも魅力でしょう。台所の前などと範囲が限定されるなら、ホットカーペットもなかなかいけます。立ち上がりも早いし、導入コストも割安です。じっとしているならご存知、コタツや足裏ゆたんぽ、足温器などを利用されている方も多いでしょう。より簡便なのが、「ホカロン くつしたに貼るタイプ5足入り 397円」といった使い捨てカイロ類です。ヒートテックくつしたに貼ってホカホカのスリッパを履けば、東京の冬ならへっちゃらです。これらの足裏加熱方法に比べると、部屋の空気を丸ごと暖めるという方法が、どれほど非効率なのかよく分かります。割高な断熱材やペアガラスに大事な予算を費やすことも避けられます。

 足裏加熱の上級編は、日照の利用です。東京では、冬季の全天日射量は2,000kcal/m2にも上ります。水1リットルの水温を10℃上げるのに10kcalと思うと、大変なエネルギーです。八畳間南側に幅1.8m、高さ2.4mの窓があるとすると、床面には10,000kcal/m2の熱が蓄えられてポカポカです。太陽光を電気に、電気を熱に、とエネルギー変換するのに比べると熱変換効率ははるかに高いのも特徴です。冬の日差しは長くなるので部屋の奥まで届きますし、コンクリートであれば蓄熱効果も高いので、この冬の日照を昼間にたっぷり床に取り込む方法はなかなかいけます。周囲が建て込んでいるなら、天窓も生かせるでしょう。コーポラティブハウスでは、こうした冬場の日照活用もプランに具体化することができます。思えば、ポカポカした縁側の床などはこうした日照の効果を生かしたしつらえだったのでしょう。これが本当の省エネです。

*1 松本泰輔・松井勇「冬期実空間における足裏加熱が全身温冷感に及ぼす影響に関する実験的研究」2009
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

コラムサイト 変わる暮らし・変わる住まい
マンションの注文住宅「コーポラティブハウス」
コーポラティブハウス募集プロジェクト情報

マンション評価こぼれ話