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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.34 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

「ゆるぎない暮らし…五感を潤すコーポラティブハウス」

(株)アーキネット代表 織山 和久

平衡感覚を担う加速度センサーとは?

 ずっとハイハイしていた子どもが、つかまり立ちを始め、やがてよちよちと歩き出します。はじめのころは姿勢がぐらついてすぐに倒れるのですが、じきに頭の位置もしっかりしてお散歩をせがんできます。長じると、歩道の端っこを伝って歩きたがり、やがて自転車にも乗るようになります。
 このような能力、つまり自分の位置と加速度を知覚して、反射的に安定した姿勢や体位に調節する能力は、平衡機能*1と呼ばれます。自分の位置と加速度を知覚するのは、視覚だけではありません。左足が前にあって重心が前に移動しつつあって、右足が地面を蹴ろうとしていて・・・、と筋肉の伸縮や圧迫の状態をとらえる体性感覚も必要です。さらに運動の加速度をとらえる「加速度センサー」が欠かせません。自分の空間情報は、視覚、体性感覚、加速度センサーの三種類で捉えられるわけです。
 そしてこの頭の運動に関する「加速度センサー」は、耳石器と三半規管から構成される内耳の前庭器にあります。耳石器は直線加速度をとらえ、垂直性はその球形嚢、水平性は卵形嚢で知覚されます。三半規管では、前・後・外の各半規管で各方向の回転加速度をとらえています。これらの空間情報は脳幹や小脳で統合されて、頭の動きと逆に眼球を動かしたり、頭の位置や動きに応じて姿勢を保ったり、という反射運動を引き起こし、さらには「次の角で右に曲がろう」といった随意運動をも組み合わせます。

乗り物酔いはセンサーの警告反応

 この加速度センサーに異常な刺激が加わると、自分の位置や加速度について混乱が起きた、とりあえず動くな、伏せろ、と体に警告が発せられます。気分が悪くなる、冷や汗が流れる、顔が真っ青になる、吐き気がする、といういわゆる乗り物酔いです。
 乗り物酔いは、自分はじっと座っているのに(体性感覚)、目に映る景色はどんどん後ろに移るし(視覚)、発進・停止のたびに頭が前後する(加速度センサー)、と空間情報がうまく調和がとれなくなっているのが原因です。いつものように歩いたり、走ったりしていても乗り物酔いにならないのは、これらの三つの感覚がいつも通りに調和しているからです。また酔いやすい人は、「また酔ってしまうのでは?」と不安を募らせて、乗る前から気分が悪くなることもあります。もちろん船乗りが船酔いしないように、慣れてしまえば克服できるのですが。
 加速度センサーにずっと何も刺激がない状態でも、乗り物酔いと同じ症状が現れると伺います。これは宇宙酔いと呼ばれ、宇宙飛行士が長期間無重力状態で過ごしたときに起こります。

深刻なビル酔い

 じっとしているはずの住まいの中でも、乗り物酔いと同じ症状が現れることがあります。ビル酔いと呼ばれる症状で、高層ビルが風圧で揺れるのが主な原因です。高層ビルは耐震構造を採用されていますが、これは地震による振動を建物がしなって吸収するという考え方に基づきます。そして高層になるほど地震以上に風圧に影響されるため、強い風を受けて建物がしなるわけです。
 あるビルで1年観測したところ*2、ISO基準で4日、より厳しいAIJ居住性能評価指針(日本建築学会)に従えば、H-1 29日、H-2  24日、H-3 10日、H-4 4日と基準を超える日が観測されました。このうち台風による振動が3日ですから、台風以外でも強風のよる揺れが心身に知覚されていることになります。
 1979年の台風20号が上陸した後に、新宿副都心の超高層ビルへの台風の揺れについて居住者にヒアリングした調査*3では下図のように、13階以上では大多数が「乗り物酔い」「頭痛など」を起こして「休憩」せざるをえず、31階以上では「二度といや」という拒否反応が強く現れています。いまから30年前に、すでに深刻なビル酔いの症状が分かっていたということはよく覚えておきましょう。

高所性ストレス

 地上100m超の観覧車は、愛の告白によく効くと言われます。原理は単純で、高いところにいると心臓がドキドキして「自分は相手にこんなにときめいている」と文字通りハイになります。そして高所の緊張から、相手の目もちょうど恋愛時と同じように開いているために、「相手もこんなにときめいている」とさらにハイになる、とうとう意を決して告白する気分になる、という仕掛けです。東京タワーやスカイツリー、ホテル最上階のバーなども愛の告白や口説きに同じ効果が期待されます。
 このドキドキする反応には、加速度センサーと生体ホルモンのアドレナリンが深く関わっています。観覧車の上にいると、じっとしているのにも関わらず(体性感覚)、風で大きく揺すられると体感し(加速度センサー)、さらに人が芥子粒のように見える(視覚)ことから、無意識に異常な高さにいると危機を知覚します。高さ20m(6階建て)では固有周期ですが、060m(20階建て)では1〜2秒、高さ200m(50-60階)では4〜6秒、と高いほどゆっくり大きくユサユサ揺れます。このため加速度センサーから尋常ではない高さにいる事態は、無意識に視覚なしでも分かるのだと考えられます。大きな揺れから高さを把握するのは、樹上生活で視界が葉で遮られるときにも順応した名残りなのでしょう。
 このような生命の危機に直面すると、副腎皮質からアドレナリンが分泌されて、心拍数・呼吸数・発汗量・血糖値・血圧を上昇させます。観覧車の高さでは無意識に恐怖を覚え、ドキドキするのはこの作用です。このアドレナリンの作用で、全身で素早く最大限にエネルギーレベルを上げて「闘争-逃走行動」を準備します。目前の敵に立ち向かうか、敵わないとみてすかさず逃げ出すか、いずれにしても一気にエネルギーを爆発させるためです。動物が長い歴史の間を生き延びてきたのは、この「闘争-逃走行動」の仕組みを備えてきたからでしょう。高所恐怖症では恐怖が我慢できないレベルに至り、足がすくむ、腰を抜かす、と歯が立たないから「伏せ」「降参」の状態を招きます。
 そしてこの危機感は実際に、相手と格闘する、あるいはゼイゼイするまで走る、ということで解除されます。けれども現代社会では職場のストレスがあっても、上司と殴りあったり、仕事を放り出して逃げ出したり、という訳にいきません。ジョギングやスポーツがストレス解消になるのも闘争-逃走行動の代償なのです。一方、危機といったストレス反応に対してずっと体を動かさないでいると、いつまでも危機に身構えるスイッチが入ったままなので、そのうちに自律神経系の働きが変調してしまいます。

平衡感覚に優しい住まい

 このように平衡感覚を調べていくと、風で揺らぐような高い建物では、

(1)大きな揺れでは内耳前庭器の加速度センサーが異常を検知し、耐え難いほどのビル酔いから頭痛や吐き気を招く

(2)普段でも無意識のうちに内耳前庭器が長周期の揺れから生命の危機を感知し、この高所性ストレスからアドレナリンが放出されっぱなしになって自律神経系を変調させる

 といったことが分かります。前掲の台風による揺れの影響を調べた結果では、7階以上から頭痛が生じる割合が目立つことが分かります。

 高層居住が健康に与える影響については、初産の経産婦を対象にした疫学的調査*4が知られています。これによると、右図のように居住階が6-9階だと流産・死産の経験率は18.8%、10階以上では38.9%と、高層になるにつれて驚くほどの被害結果が報告されています。高所ならではの長周期の揺れが、妊婦にも無意識のうちに高所性のストレスを加え、アドレナリンの分泌が促されて緊張(闘争-逃走反応)を強い続ける、そのために自律神経系が変調を来たして流産・死産を招く、といった一連の流れが読み取れます。この調査結果も15年前には分かっていたことをよく覚えておきましょう。
 高所居住ストレスの影響を受けるのは、もちろん妊婦だけではありません。さらに日々利用する高速のエレベーターも、上下に尋常でない重力がかかり加速度センサーが混乱してめまいすら覚えます。エレベーターでの昇降は待ち時間もかかって乗り合わせる人もいるので、ストレス解除に外で散歩やジョギング、というのも億劫になりがちです。
 したがって、平衡感覚に優しい住まいを考えるならは、階数はせいぜい6〜7階にとどめておくべきでしょう。6〜7階の高さはだいたい20m、ちょうどシイ、カシ、クスノキ、タブノキなど高木の最大高さに相当します。自然界ではそこから上での長周期の揺れは、本来のヒトの加速度センサーにとっては異常値になって、命の危険を無意識に感じると推測されます。余計なストレスに苦しまないのうにするなら、自然の感覚に逆らわないことでしょう。随分前から深刻なビル酔いや高層居住の健康被害が分かっていたにも関わらず、タワーマンションがまかりとおるのは良く理解ができません。
 また老化で平衡感覚が衰えると、転倒・骨折・寝たきりというパターンに陥りがちです。平衡感覚を取り戻すトレーニングとして注目されているのが、足裏の運動です。足指でじゃんけんをする、足指と足裏を屈曲させてタオルを引き寄せる、といった運動療法で、足裏に密集する姿勢を感知する受容器を活性化させることが期待されています。足裏への刺激を考えると、畳や無垢材など普段から裸足で生活できる床材を選ぶのがいいかもしれません。さらに頭部の加速度センサーと体性感覚を日常的に鍛えるというなら、刺激に乏しいフラットフロアよりも毎日の暮らしの中で階段を上り下りするメゾネットの方が、心身の健康面でかえって好結果を招くとも思われます。もちろん、十分に体を動かせるのであれば、ジョギングやサイクリング、スイミング、球技、スキー・スケート、ヨットなどほとんどのスポーツは平衡感覚を駆使するものです。従って、何も住まいのつくりに頼らずとも、ダイエット目的でないにしてもスポーツを日常生活の中に組み込んでおくといいでしょう。

*1 平衡機能の生理と病態」渡辺行雄 体力化学 2004
*2 「強風時における高層建築物の実測データに基づくねじれ振動と並進振動の応答関係について(3)」後藤剛史、志村正幸、新藤智、義江龍一郎、永関慶樹 2003
*3 「強風時における超高層ビルの揺れに対する居住者の反応について」後藤剛史、山田水城、前島修 1980
*4 「居住環境の変移に伴う妊産婦の健康影響に関する研究」逢坂文夫 1995
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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