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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.19 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

「玄関と間合い」

(株)アーキネット代表 織山 和久

 家に出入りするのは、家族だけではありません。親戚、友人・知人、隣近所の知り合い、宅配便の人、さらには、あやしげな訪問販売の営業マン、新興宗教の勧誘者など招かざる人々を含めて幅広いものです。  そこで重要になってくるのが「間合い」です。
例えば玄関ドアを開けるといきなり招かざる客と触れ合うほどの間合いだと、不快ないし不安になります。逆の場合で、親しい間柄なのに、例えば机が間にあり、ちょっと間合いがあるだけで何か隠し事や言いにくい事でもあるのかと気になります。
このように、人間関係に対応して「無意識のうちに適切な間合いをとる」という行動はヒトも動物で、縄張りが有るからだと考えられています。
引用が長くなりますが、エドワード・ホールによる古典的な分析*1 によると、間合いは次の様に大きく四つに分けられます。

(1) 密接距離
(ア) 近接相 0〜15cm 恋人同士や幼子・親の間のように、直接に体が触れ合って、愛撫、慰撫、保護する距離
(イ) 遠方相 15〜45cm 手で体に触れる距離で、話すのはささやき声になる。他人がこの距離に入ると不快感が強まる
(2) 個体距離
(ア) 個体距離 45〜75cm 手を伸ばして触れ合う限界で、きわめて親しい人同士の距離。相手の表情を正しく見分けることができる
(イ) 遠方相 75〜120cm 両方が手を伸ばせば、指先が触れ合う距離。相手の表情がかなり細かく見分けられるので、個人的な関心や相談ができる
(3) 社会距離
(ア) 近接相 1.2〜2.1m 上半身から体全体が視覚にとらえられる距離。相手の体に触れたり、表情の微妙な変化は分からないので、個人的でない用件を話し合ったり、社交的なつきあいをする間合いになる
(イ) 遠方相 2.1〜3.6m 顔の細部は見えないが、相手の姿全体とその動きが見える。形式ばった仕事や社交の場に使う距離で声は大きくなる。この距離では、他人を気にしないで自分の仕事に集中できる
(4) 公衆距離
(ア) 近接相 3.6〜7.5m 相手の様子が分からなくなり、また、相手の脅しにとっさに逃げたり守ったりできる距離。個人的な関係は希薄
(イ) 遠方相 7.5m 以上 姿も小さく見え、大ぶりな仕草や演説調の話し方でないとコミュニケーションをとれない距離

 このように考えると、玄関を単に内と外の「分断」としてとらえるのではなく、内と外にさまざまな間合いをとる「連続空間」としてプランすることが非常に大事であることが分かります。
 昔ながらの町家*2には、こうした間合いをとるための工夫が巧みにこらされています。玄関から遠い二階や一階奥がいわばプライベートな縄張りで、土間や通り庭で間合いを調節する方式です。ちょうどエドワード・ホールの四つの間合いと対応しています。

(1) 改まった客 土間(店)から通り庭を経て板の間(茶の間)から上がり、奥の仏間(座敷)に通して接客が行われます。お二階で結婚式を行った際は、板の間から階段を上り、遠方の親戚は前二階で寝泊りします。
(2) 近所の親しい友人 表の雁木から通り庭を通り、茶の間脇から主人に来訪を告げます。お客は板の間の框に腰掛けて、主人と長火鉢を挟んで会話します。
(3) 店のお客 表の雁木から店に入る。主人は板の間から土間の会計に移動し、会計の後に長火鉢を挟んで接客します。
(4) 近所の知人 玄関先の雁木下で、挨拶や立ち話をします。回覧板もこの雁木下での受け渡しされます。

 昔ながらの町家のつくりは、微妙な人間関係を対人距離で見事に調節していることが分かります。長い年月を経て定着しただけに、人間の心理によく適った合理的なプランと言えます。町人文化ならではの人付き合いの作法も、こうした町家のつくりを土台に洗練されていったのでしょう。

 一方、右図のような現代の標準的なマンションプランでは、人と人との間合いをとるのをあきらめているような節があります。玄関の外側はすぐ外廊下で赤の他人が行き交います。隣近所とちょっと立ち話といっても、北側の外廊下には北側の居室(寝室)が接していて、こちらの話し声や明かりが漏れるようで落ち着きません。玄関には広さがないので、お互いに様子を見るような間合いもとれません。すぐ両脇が寝室で、いきなりプライバシーに踏み込むことも出来ます。だからといってドアを閉めると、部屋の外の気配が感じられなくなります。それにお手洗いへの出入りまで丸見えです。このように間合いがとりにくいプランであるが故に、例えば宅配便のお兄さんなどを玄関で待たせるとき、気持ちが落ち着かないわけです。もっとも、うちに出入りするのが、家族だけならこうした分断型の玄関でも通用するかもしれません。

 そこで現代の子育て世帯にアンケートした結果をみると、「我が家にあがっていただく“お客さま”といえば」、実家のご両親や友人、ご近所さんなど結構な来客があることが分かります*3。したがって、雁木や板の間、長火鉢ではないにしても、人間関係を対人距離で巧みに調整するプランを工夫するのは、心地よく過ごすためにも意義が高いはずです。

 あるコーポラティブハウスでの実例をご紹介しましょう。右上の写真のように、表の道路から奥に進み左側に曲がった通路に、各戸の玄関が並びます。この通路は、表からも各居室からも離れ、入居者同士で立ち話をするにもちょうどいい間合いです。さりげなくおかれた椅子は、外から帰ってきてちょっと一服、という雰囲気を醸しだしています。左下写真のように、玄関ドアは透明ガラスですから、来客の様子はすぐに分かります。玄関の上には空中庭園が突き出し、その下は来客にちょっと待っていただくにも心地良い場所になっています。宅配便の受け取りなど簡単な用事はそこで済ませられます。スツールには、靴を脱ぐ、手荷物を置く、といったための心遣いが現れています。さらにいろいろ話があるときは、すぐ隣のダイニングまで自然に誘導できます。

 お茶を出すのも、裏がキッチンですから話もとぎらせず、手早く出来ます。天井の高いゆったりしたリビングは写真手前側、半階上がるという間合いもとれ、もっとプライベートな関係を結ぶ場になります。居室は地階ですから、玄関からしっかり物理的・心理的な距離がとれて安心です。このような共用通路や土間続きのダイニング、階差によるリビング・居室配置などは、玄関を基点に対人距離をとって人間関係に適切な間合いをとる見事な工夫と言えるでしょう。現代の都市生活にも人間関係の調整は大切です。それだけに玄関からの間合いをぜひ工夫したいものです。

*1 エドワード・ホール「かくれた次元」みすず書房、1970
*2 塩野透・黒野弘靖・井苅大和「上越市高田の町家における接客空間の特徴に関する研究」 2008
*3 ミキハウス子育て総研調査「我が家の”お客さま“事情調査」 2008
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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