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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.10 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

住まいの省エネ、【外断熱】が切り札か? ほかにもあるか?

(株)アーキネット代表 織山 和久

(ア)外断熱のうたい文句

 外断熱が注目されています。
 コンクリートは熱を貯める力があるので、その外側をくるむように断熱を施せば、魔法瓶のように外の温度変化によらず室温が一定に保たれることになります。
 床暖房を稼動させた実験結果*によっても、夏、外が30℃を超えていても室温は26℃。冬は外が氷点下でも15℃と安定していて快適です。内断熱と比べても、変動幅1〜2℃小さく、冷暖房の費用も落とせると言われています。
 また、外断熱の材料にポリスチレンフォームを用いると、内側のコンクリートが空気に触れないので、その中性化を防いで寿命がとても長くなります*2。外側が覆われますから、暖かい室内に冷えた柱や梁が露出されず、内部の結露も防げます。結露でカビやダニが発生することもないので、病気になるのも防げるでしょう。このように、外断熱はいいこと尽くめのようです。

(イ)人間の調整機能

 しかし、人間の生理*3からみると違ってきます。
 日本人の基礎代謝量は四季の変化に対応し、冬に増加・夏に減少と、その変動幅は10%あるそうです。冬は血の巡りが良くなって、ポカポカするようになっているわけです。快適と感じる気温も、夏は高く、冬は低く、とその差は3℃もあるそうです。つまり、有史以来の長い間に、人は気温の季節変化への適応能力を高めているわけです。

 25℃の部屋から30℃の部屋に移る実験でも、無風では耳内温上昇と発汗が止まらず、と人体は蓄熱状態です。一方、風速1m/秒では、汗になる前に皮膚も乾き、体温も一定と快適です。真夏でも、冷房より通風に涼しく感じるようにできています。実際に、暑くなれば副交換神経が働いて、血管を拡張し発汗を促して体の熱を放散させようとします。冷風に当ると、交感神経が働き血管を収縮させ発汗を抑制し、体温の下がり過ぎを抑えます。ところが外気との温度差が5℃以上も室内に長くいると、この温度調整を行う自律神経が狂い、周りの温度に適応できなくなります。冷房病とも言われるこの自律神経失調症は、冷え・しびれ・むくみ・肩こり・頭痛・神経痛・腹痛・食欲不振・下痢・便秘・不眠・月経異常・疲労感・倦怠感・焦燥感・鼻炎・頻尿などが症状でなかなか深刻です。
 要するに、外断熱でぬくぬく過ごすことが、本当は四季の変化に適応した数々の心身の調整機能を狂わせて、自律神経失調症にも至らしめているのです。

(ウ)自然な住まい

 このように人間の生理からすると、一年中、外断熱で閉じこもってぬくぬくと過ごすのは考えものです。
人間のもともと備えている調整機能を生かすなら、住まいとしては、夏でも、窓を開ければ風が通って、涼しく感じられるのがいいでしょう。どの部屋も二方向以上に開口部がとれて、一帯に抜ける風の道に面していることが求められます。冬には日照角度は約30℃、部屋の置くまで日差しがとどきます。快晴時に地上に到達する太陽エネルギーの密度は1m2当たり約1,000Wですから、床が暖まるわけです。大きな窓面をとって、冬の日差しをたっぷり取り込めれば快適です。夏の日差しを避けるには庇などの工夫も欠かせません。
ところが外断熱で冷暖房の効率を上げるのに躍起になると、窓はできるだけ少なく小さく、断熱のためにペアガラスで、と簡単に片付けがちです。しかし夏の風通しや冬の日差しを生かすには、窓は多く大きく、となり、ペアガラスでは予算や規格に合わないサイズにもなるでしょう。
そこで思い起こすべきなのは、冷暖房の室温や効率ではなく、涼しさ・暖かさの感じ方です。内断熱を外断熱にしても、室温を1〜2℃抑えるぐらいですから、外断熱は有効なのですが絶対視するまではありません。それよりも人間の心身の調整機能を生かした自然な住まいの方が、結局はエコなのかもしれません。

*1  「RC外断熱集合住宅の温熱環境実測」海藤俊介・横尾昇剛・岡建雄 2007
*2  「外断熱工法の透気性と躯体コンクリートの中性化に関する研究」申雪寒・長谷川寿夫・吉野利幸 2003
*3  「温熱生理学」中山昭雄編 1981
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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