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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.3 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

「都心駅近マンションが、坪250万円前後で出来るワケ」

(株)アーキネット代表 織山 和久

中間マージンを省く「だるま落とし」作戦

 分譲マンションの価格のうち、正味の土地代と工事費の占める割合は60〜65%になります。例えば、分譲価格5,000万円のマンションは、原価は3,000〜3,250万円という計算です。残りの35〜40%は販売経費や広告宣伝費、金利等、そして分譲会社の利益になります。要するに、売れ残りリスクの費用と利益が、原価に大きく上乗せされている形になります。新しくても中古となると3割は値段が下がる、というのも裏付けられます。

分譲マンションのコスト構造

 この原価率の問題は、「分譲」という方式からすると仕方がありません。事業主としては、販売に先立ち、入居予定者の代わりに数十億・数百億円もの投資をして、土地を買って設計・施工を進めます。そこで販売の見通しを誤ると、販売在庫の形で数多く売れ残り、損失を被ることになります。そんな事業リスクを考えれば、2割程度の利益は欲しいし、売れ残らないようにするためには、販売や広告・宣伝にお金をかけるでしょう。もちろん分譲会社のこうしたコスト構造を、一般のお客さんは見せてはもらえません。
 ところが「コーポラティブハウス」という方式になると、住宅取得費用のほとんどが、正味の土地代、設計料、工事費に向かいます。「分譲」とは対照的に、先に入居希望者が確定するので、まず売れ残りリスクやそれを避けるための販売経費や広告宣伝費などは不要になります。さらに、入居希望者同士でつくる組合が、直接に土地を買い、設計を依頼し、工事を発注する形ですから、分譲会社の利益分も乗ることはありません。自分たちで発注しますから、費用明細も詳細まで明快です。
 もっともこうした組合の募集から事業運営までをすべて自力で行うのは難しいので、外部のプロデュース会社に委託します。A社では、その目安は原価(=土地代+工事費+金利・税等)の12%となります。さらにしっかりした建築家に設計を依頼しますから、工事費の10%前後を設計報酬として支払います。
 このようにして考えると、土地代や工事費が同条件だと仮定すれば、分譲方式とコーポラティブ方式とでは、3割前後の価格差があるという試算が成り立ちます。

割安の土地を選ぶ「残りものには福がある」作戦

 次は、割安な土地を選ぶのが秘訣です。
 一戸建て用の20〜30坪の土地は、個人の住宅ローンも相当額が融資承認されますので、高く吊り上ります。100坪前後でうまく道路に面した土地は、戸建て分譲用に小さく区切れますから、建売分譲業者に高値で買われます。さらに200坪以上、特に道路に面した整形地となると、マンション用地として資金力のある会社の間で競争になって高くなりがちです。
 したがって割安の土地は、戸建て用にもマンション用にもならず、他に買い手がつきにくい土地です。具体的には、前面の道路にいたる敷地内通路が狭まっている土地、奥行きはあるが間口があまりない土地などが、建築法規から区画を細分化することができません。そして戸建て用には大きすぎるという100坪ぐらいの土地となると、買い手もほとんどいないので、ぐっと割安になります。周辺の土地相場の半分ぐらいのこともあります。

コーポラティブハウスの用地 場所は通路の突き当たりですが、東・南に抜けた静かな環境

 コーポラティブハウスですから、こうした土地でも細切れにせず一体で建てられるので、十分に条件に適うわけです。100坪前後ですから、大型マンションのように、自分の計画地だけで風景を作る規模ではありません。そこでこうした割安の土地の中でも、周りの家並みの品が良かったり、緑道や公園の借景が生かせたり、といった魅力のある土地を選んでいけば、居心地のいい住まいへと具体化していけるでしょう。「残り物には福がある」といったところでしょうか。

規模のメリットとリスクを考える
「寄らば大樹、だが老木は倒れる」

 分譲マンションにも、規模のメリットと規模のリスクがあります。
 規模のメリットでは、まずは工事費。現場の敷地が大きければ、巨大な工事車両も使えて効率は良いし、大規模工事でも所長は一人ですから固定費も薄まります。内装も全住戸同じ仕様であれば、一括発注で安く仕入れて、順番に効率よく片付けていけます。
 また中高層のマンションはラーメン構造、つまり鉄筋コンクリートを「虫かご状」にした建て方です。しかもタワーマンションの高層階では、住戸と住戸の間の壁も石膏ボードで軽く作るため、金属バットで打ち破ることもできるぐらいです。したがってコンクリートの「面」でハコ状に持たせた壁式構造よりも、材料費・工賃費は安く上げられます。
 さらに、大手分譲マンション会社になると施工会社への交渉力もあるので、結果として工事費は坪当たり50〜60万円という水準で抑えられます。低層で十戸足らずのコーポラティブハウスでは、壁式で工事費には坪100万円前後をかけるので、ここで割安の土地を使うメリットとちょうどつりあう形になります。

 規模のメリットの二つ目は、「充実した共用部」でしょうか。豪華なエントランス、緑の生い茂る植栽、噴水、専用フィットネスジム、コンシェルジェサービス、ゲストルーム、最上階ラウンジなど、さまざまに趣向が凝らされています。小規模のコーポラティブハウスにはここまでは期待できません。
 問題があるとすれば、ひとりひとりの費用対効果が見合うのか、という点でしょう。人の良いコンシェルジェも、威張った爺様が独り占めして、ずっと用事を言いつけてばかりだと、他の人は頼めません。遠くの親類が泊まるゲストルームも、千戸に数戸の割合だと、自分の番がいつ廻ってくるか分かりません。身近に見かけない植栽や噴水にも、結構な維持管理費用はかかります。
 共有サービスもメリットについても、ひとつひとつ冷静に計算してみるといいでしょう。

 規模のメリットの最後は、「大手不動産会社だから安心」という気分です。耐震偽装事件が発覚してから、大手だったら何かあっても責任をとるだろう、補償してくれるだろう、と期待を抱く向きが増えました。
 土壌汚染や構造欠陥など、物件に瑕疵があった場合、分譲マンションでは分譲会社の負担で回復・補修する義務がありますが、ヒューザーのように関係会社も倒産すると、対処のしようがありません。そこで大手なら倒産しないし企業の信用に関わるから、という発想なのですが、そこには安心料が入ります。こうした大手の物件はハイグレードの仕様を施して、近隣の相場から2割ほど高く販売されています。一例ですが、そうした住戸が専有面積80m2で8,000万円とすると、その2割、1,600万円分がその安心料見合いになります。工事費は坪60万円とすると80m2では1,500万円弱です。つまり仮に耐震偽装事件があって、ゼロから建て替えても1500万円で済む一方で、安心料は1600万円かかっている計算になります。ハイグレード仕様なのでその分を差し引くべきですが、耐震偽装の起こる確率を考えれば、安心料にしては高すぎないでしょうか?

1929年築のアパート 壁のひび割れなど老朽化が激しく、耐震性も問題ですが、まだ建替えには至っていません

 ここで規模のリスクを指摘しておきます。マンションも古くなると、大規模修繕や建替えも必要になってきます。配管・設備関係がいい加減なつくりで手が入らない状態ですと、30年ぐらいで寿命になります。そこで大規模修繕を、となるのですが、決定するのはマンションの管理組合です。
 区分所有法の規定によると、共用部の変更では区分所有者及び議決権の4分の3、建替えでは5分の4の多数の決議が必要になります。築30年ぐらいになると賃貸に出して、本人と連絡がとれないケースも少なくありません。また仮に決議がとれても、建替えと明け渡しに反対する人がいると頓挫します。売り渡し請求をかけても、売買価格が折り合わなかったり、病気で寝込んでいて動けない、となると長期化します。
 結局、全員合意がとれないと、にっちもさっちもいきません。ところが建替えコンサルタントの説では「何でも反対」という人は、50人に1人の割合だそうです。この確率で試算すると、100戸のマンションでこういう反対者がいなくて全員合意がとれる確率は13%[=(49/50)100]、200戸では2%弱[=(49/50)200]。
 要するに、規模の大きいマンションほど、将来の大規模修繕や建替えに難儀して資産価値を損なうリスクが高く、住宅ローンを支払い終えた頃には、スラム寸前でもう住めない、ということにもなります。コーポラティブハウスで戸数規模が10戸ぐらいであれば、全員の合意がとりやすくなるのとは対照的です。

 住宅の取得を考えるとき、購入時の価格がまず気になりますが、本当は、(購入時の価格―将来の転売価値)が重要です。分譲マンションでは、購入時の価格には、マージン・販売経費等、共有部関係費、さらに安心料が乗ります。そして将来の転売価値は、大規模マンションほど合意形成が難しくなって、ゼロに近づきます。このように分譲マンションと比べると、コーポラティブハウスが相当に割安になることが分かります。

欧米ではコーポラティブハウスが主流

 コーポラティブハウスには長い歴史があります。
 もともとは一八世紀の社会主義者ロバート・オーウェンが、自ら経営するスコットランド、ニュー・ラナークの繊維工場の傍らに協同組合を始め、生活物資の共同購入から住宅建設、幼稚園運営などを行ったのが発端です。こうした試みが、紆余曲折を経てドイツや北欧、そして北米に広がります。
 フィンランドでは、1900年頃からヘルシンキ郊外カタヤノッカ地区に、アールヌーボー様式のコーポラティブハウスが、工員や職人を主体にまとまって建てられました。1920年代には専門の開発業者や政府系金融機関も登場し、いまでもコーポラティブハウスは最も主要な自宅所有形態です。
 そしてフィンランドからの移民らの手で、1918年にニューヨークで始めてのコーポラティブハウスも生まれました。1980年代には、高級賃貸アパートを賃借人が組合をつくって家主から買い取る形のコーポラティブハウスも急増し、ジョン・レノンのダコタハウスもその一例です。カナダでもコーポラティブ建設は1930年代から1960年代にかけて全土で普及しました。
 こうして、今では、ノルウェーの全国の住宅の15%、オスロ市では40%、450万人がコーポラティブハウスに居住しています。スウェーデンでは50万人。ドイツは650万戸に1500万人と、その割合は全住宅の17%、アパートの30%を占めています。カナダでは、9万戸、25万人に上ります。

 日本では、コーポラティブハウスというと「ああ、自由設計のマンションね」と亜流扱いで、累計1万戸ほどに過ぎないのですが、北欧や北米では、分譲よりもコーポラティブの方が主流です。都市で集まって住む仕組みとして、いままで述べたように分譲マンションよりも合理的ですから、それだけに何世紀もの風雪に耐えて主流になったのでは、と思われます。

東京の街並み 戸建て、マンションの混在した街並みです

 日本でも1921年に欧米にならって住宅組合法が成立し、それから20年足らずの間に3万5千戸が建設されました。しかし戦後はほとんど活用されず、住宅組合法は1972年に廃法となります。1950年に住宅金融公庫が設立され、組合にではなく世帯単位に個人の持ち家融資の対象が、一戸建てから分譲マンションに広げられて、累計400万戸以上と大勢を占めています。
 ちょっとした制度の違いが、コーポラティブハウスという合理的な仕組みを根絶やしにして、一戸建てと高層マンションの混在するような街や住まいの姿に変えた、という劇的な事例と言えます。もちろん、いまからつくりかえればいいだけですが。

筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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